科学の面白さ、知ることの楽しさ、自然の素晴らしさ。それを知ってしまった人はきっと誰かに伝えずにはいられません。面白さ、楽しさ、素晴らしさをほかの人にも伝え、感動を分かち合いたい。そう思う心は人の本性のひとつなのでしょう。でも、思いを伝えるには術(すべ)が必要です。 自分のかかわる野鳥の会の活動を通じて、伝えきれないもどかしさを常に感じていた私は、CoSTEPに望みを託しました。大学卒業以来、ごく普通の会社員生活で特別なトレーニングを何一つ受けたわけでもなく、あるのは意欲だけ。渡されたカリキュラムの濃さには本当に1年ついていけるのか、不安一杯のスタートでした。必死で課題をこなし、講義に出席し、仲間とのふれあいの中で刺激を受け、気が付くとあっという間の1年でした。「術」がしっかり身についたかはわかりません。でも、確かに成長した自分を感じています。そして何よりも、CoSTEPの1年で自分の視野とネットワークを広げることができました。これからが本当の私の活動です。 今、この原稿を書いている時にも、横のテレビ、ツイッターのTL、そしてCoSTEP修了生のMLは、東北太平洋沖地震災害の記事であふれています。去年の私ならただの傍観者であったかもしれません。でも、今はちがいます。拙いながらもCoSTEPで身につけた術を生かす道はないかと模索しています。
- 鈴木 幸弥
- 会社員、日本野鳥の会会員