私がCoSTEPを受講しようと思った理由は2つあります.1つは学部4年生の頃,卒業研究発表でポスター作りに苦戦し,人に何かを伝えることの難しさを痛感したこと.もう1つはニュースや新聞などで研究内容を紹介する記事を見かける度,「誰がどのように作っているのか?」「研究を的確に伝えるというのはどういうことなのか?」という疑問を抱いていたこと.これらの理由から,一度科学技術コミュニケーションに関してじっくり学んでみたいと考えました.
私が受講したグラフィックデザイン実習では,どのような構図や配置にすれば見やすく,美しく,テーマに沿った内容となるか,ということをひたすら考えます.「デザイン」というとセンスがなければできない,なんとなくとっつきにくいようなイメージを持つ方もいると思います.私もそう思っていていました.しかし実際に作業を行ったり,色んなもののデザインをじっくり見ていくと,確かにテイストや好みに違いはあれど,誰もが「整っているな」「見やすいな」と感じるものには普遍的なルールがあり,それは非常にロジカルに説明できるものだということが分かってきました.この気づきは私にとってCoSTEPで得られた最も大きな収穫でした.
それ以外の講義や実習も,どれも実践的でためになるものばかりでした.「これは他の人が見た時どう感じるだろう?」ということを意識しながら物事に取り組むことができるようになり,学会でのポスター発表やプレゼンなどの際には自身の成長に驚くばかりです.CoSTEPに興味はあるが迷っている,という学生の方にはぜひ受講することをおすすめします.苦労することも多いですが,きっとただ大学で研究をしていただけでは得られない発見があることと思いますよ.
- 太田菜央
- 北海道大学大学院生命科学院修士課程