受講のきっかけは、大学院の研究テーマである蚊や感染症の話を誰かに発信したいと思ったことでした。蚊は刺されればかゆくなるし、ときに病気を運ぶ嫌われものですが、生態をよく知れば面白いし、蚊にまつわる知識が病気から身を守るきっかけになるかもしれない。どんな発信の仕方があるだろうか、どんな企画がいいだろうか。科学をうまく伝える方法は…と、なんとなくウェブ検索をした一年前のある日、CoSTEPのことを知りました。
自分がどんなカタチで活動をするにせよ、“科学技術コミュニケーション”というものについての知識は今後の武器になる気がしたし、なによりCoSTEPのウェブサイトを見ていたらなんだか面白そうだったので、直観に従い受講することにしました。
嬉しい誤算だったのは、CoSTEPは“科学技術コミュニケーションのやり方”というたったひとつの武器をくれる場所ではなかったことです。講義を通じて、科学技術コミュニケーション、という言葉でくくられる様々なタイプの活動を垣間見ることができました。そこから、それらの活動が生み出すコトについてじっくり考える機会を得ることができたことが、私にとって大きな収穫でした。さらに、学び方について改めて意識したり、新しい視点に気づかされたりと、科学技術コミュニケーション以外の場所でも役立つ、いい意味で予想外の武器を手に入れたのでした。
集中演習の3日間に、多様なバックグラウンドを持つ受講生と交流して気がついたのは、自分の中にあるやってみたいことを、他の人のやってみたいこととくっつけると、新しい文脈が生まれて、ひとりでは思いつかなかったような企画の形が見えてくる、ということ。もっと人と会って話すことが大事…ということは、頭でわかっていたつもりですが、実際やってみなければ実感できなかったでしょう。
もうひとつの気づきは、各講義で手に入れた武器をちゃんと“装備”して、実践することの大切さ。演習中に出会った同期生たちが様々な活動にチャレンジしている姿は、「手に入れた武器は装備しなければ意味がない!」ということ思い出させると同時に、私を勇気付けてくれます。私もさっそく装備して、冒険に行ってきます。
今西望(選科A)
長崎大学大学院 博士課程