医療のリスクコミュニケーションに能力活かして
松田 一敬
合同会社SARR代表執行役員
2015.3.18
現在私は大学等研究機関の研究成果の事業化、社会還元を行っています。IMD世界競争力調査では日本の科学インフラは世界第2位にもかかわらず、この成果が実社会に活かされず、国としての競争力は低迷、医薬品・機器は輸入超過、経済も元気が無い状況、これを科学技術の商業化を通じて日本を元気にしたいと思っています。
不治の病が治療可能となる新薬、多数の人々を死に至らしめる伝染病を防ぐワクチン、非侵襲の治療方法など新しい医療技術の発表は、人々の治療・予防や生活の質(QOL:Quality of Life)の向上には朗報ですが、多くの薬には副作用があり、新しい技術の実践には未知のリスクが伴います。再生医療や遺伝子診断・遺伝子治療等、先端技術については技術に対する不安がつきまといます。これらの社会的認知度を高め、正しい利用方法へ理解を深めるためには、ステークホルダーや一般市民との「リスクコミュニケーション」が必要です。「リスクとリターンは比例」します。新しい技術を導入する場合にはリスクとリターンの両方があるということを、利用者が、すなわち患者ならびに家族や社会が十分に理解できるようなコミュニケーションの機会が必要になります。
まさにこの点こそがCoSTEPのみなさんに求められている役割です。ぜひ、科学技術の社会還元に皆さんの能力を活かしてください。