開講科目

2025年度の学びの形

CoSTEPの学びは、6つのモジュールからなる「講義」、スキルを身につける「演習」、実践力を身につける「実習」の3つ授業形式で構成されています。

開講特別プログラム

開講特別プログラムは開講特別講演、CoSTEPガイダンス、オープニングワークショップで構成される、CoSTEPの学びの出発点となるものです。

CoSTEP開講式特別講演「語りえぬものを語り継ぐ~アートで省みる科学技術コミュニケーション~(仮)」

記憶は、ある人の体験と共に作られ、その人の中に息づいています。その記憶を記録として外在化するとき、語りえぬ感情や文脈をどこまですくい上げることができるでしょうか。

藤井光さんは、国内外で活躍する現代アーティストです。藤井さんの作品は、映像やインスタレーションを通じて、視覚や聴覚、身体感覚の境界を探り、現代社会における情報や記憶の扱いを問い直します。《第一の真実》(2018)という作品では、2700年前の遺跡から発見された大量の人骨を巡り、考古学者が科学的に解明する事実の限界を映像で記録し、事実の先の真実を想像し演劇で表現しました。福島第一原子力発電所の事故から生まれた《あかい線に分けられたクラス》(2021)では、小学校の校区を圏内と圏外に分けることで生じる差別を映像作品として表現しました。

科学技術は私たちの生活を便利で豊かなものにする半面、様々な軋轢ももたらします。今年は原爆投下からちょうど80年目の節目の年です。世界で唯一の被爆国である日本は、2011年、再び福島原発の事故で広い地域が被曝しました。原子力の利用は私たちの生活、健康にたくさんの恩恵をもたらしましたが、便利で強大なエネルギーは時に悲劇や暴走を引き起こします。科学技術コミュニケーションは、科学がもたらす利点を伝えるとともに、科学が引き起こす負の側面を省みて、科学がより安全で健全に運用されるような仕組みを考える場も創造します。その際には、記録の先にある記憶を想像し、語り合う必要があります。

CoSTEPガイダンス

CoSTEPの1年間、どのように学び、どのように支えていくのかについてのガイダンスの後、受講生同士の自己紹介、交流の機会を設けます。

オープニングワークショップ

科学技術コミュニケーションを「パターンランゲージ」で考えるワークショップを開催します。

講義

「講義」は、科学技術コミュニケーションを体系的に学ぶ6つのモジュールで構成されています。本科、選科の共通科目です。

モジュール1 / 科学技術コミュニケーション概論

科学技術コミュニケーションを行うのに必要な諸概念を学び、社会における科学技術コミュニケーターの望ましいあり方の全体像を展望し、科学技術コミュニケーターの役割を考えます。

2025/05/11 科学技術コミュニケーションの入り口
科学技術コミュニケーションの世界へようこそ。科学技術コミュニケーションは、科学をわかりやすく面白く伝えるだけでなく、科学技術の課題を語り合う場を設けたり、科学技術の未来について創造したりと、その活動は幅広く、また単発的な活動から長期的な関係性作りまでその密度も多様です。本講義では、科学技術コミュニケーションの水平的な広がりと様々な深度について理論と実践の面から紹介していきます。
奥本 素子(北海道大学 CoSTEP 部門長/大学院教育推進機構 准教授)
2025/05/17 コミュニケーションを改めて考え直す
私たちはCoSTEPで「科学技術コミュニケーション」を学ぼうとしています。それではそもそも「コミュニケーション」とは何でしょうか。あるいは、なぜ「対話」が大事なのでしょうか。この講義では、コミュニケーションおよびその近接概念について説明できるようになることを達成目標とします。加えて、大学で「科学技術コミュニケーション」を「学び直す」ことの意義について確認します。
種村 剛(北海道大学 大学院教育推進機構リカレント教育推進部 特任教授/CoSTEPフェロー)
2025/05/31 社会の中での科学技術コミュニケーターの役割:科学ジャーナリストを例に
科学ジャーナリストは科学技術コミュニケーターの職業の一典型です。科学や医学に関する情報が複雑化・高度化する中で、その役割の重要性は増しているはずですが、現状では残念ながら十分な役割を果たしているとは言えない部分もあります。NHKの医療・災害担当記者としての経験をもとに、科学技術コミュニケーターが社会の中でどのような役割を求められているか、科学ジャーナリズムをめぐるいくつかの具体例を通して考えます。
隈本 邦彦(江戸川大学 メディアコミュニケーション学部 教授)(実務家)
2025/06/14 対話のその前に〜コミュニケーションのための科学哲学
科学技術コミュニケーションへのアプローチは、「科学者と市民との対話」だけではありません。科学哲学というアプローチがあります。科学哲学は、科学の成り立ちや、科学的方法の前提を分析することに関心がありますが、そうした分析の中には、科学技術と社会の対話のヒントとなるものがあります。因果性や価値判断といった、ふだんあまり深く考えないことがらを例に、「コミュニケーションに役立つ科学哲学」について紹介します。
松王 政浩(北海道大学OECセンター長/理学研究院 教授)
モジュール2 / 表現とコミュニケーションの手法

科学技術コミュニケーターとして必要な、様々な表現とコミュニケーションの手法について学びます。

2025/06/21 「うちの分野だとアーギュメントは重要じゃない」と思っているあなたへ——研究と価値の問題について
拙著『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』は「アーギュメント」という概念を日本のアカデミズムに導入した書物です。これについては種々の反論がありえますが、寄せられる質問のなかでも「うちの分野にアーギュメントという考えはそぐわない気がするのですが、どう考えればよいですか」というものが非常に多い。この講義ではアーギュメント概念について基本的なことを概説したうえで、書籍で挙げた例とは異なるスタイルの研究におけるアーギュメントの重要性について、研究の価値という観点から再考します。
阿部 幸大(筑波大学人文社会系助教)
2025/06/28 実践入門
科学技術コミュニケーターとして、学びの場であり、その学びを生かす場として「実践」があります。本講義では、CoSTEPでこれまで行なってきた実践をいくつかご紹介します。多様な事例から、コンセプトメイキング、ステークホルダー間のコミュニケーション、集客のための広告や情報発信まで、プロジェクトを進める上で必要となる態度や考え方、スキルについて一緒に考えていきます。
古澤 正三(北海道大学 CoSTEP 特任講師)
2025/07/12 伝えるプレゼンテーション
学生生活やビジネス活動、科学技術コミュニケーションなど、さまざまな場面で多様なバックグラウンドを持った人々に接し、説明や報告をする機会が増えています。それに伴い、効果的に自分の考えを伝えるプレゼンテーションのスキルの重要性も高まっています。この講義では、プレゼンテーションの基本的な考え方、技術、スライドのデザインを学び、限られた時間で伝えたいことを伝えたい相手に最適な手段を用いて伝えることができるようになることを目指します。
本平 航大、沼田 翔二朗、奥村 友佳子(北海道大学 CoSTEP 特任助教)
2025/07/26 映像メディアによる科学技術コミュニケーション
大学や研究機関広報、学校教育といった科学技術コミュニケーションの現場で、映像メディアの活用が始まっています。ライティングに比べると、映像制作は特有の文法や技術的なハードルがあるため、敷居が高いと感じる人も多いでしょう。もちろん撮影、編集、デザイン、台本制作まで全て一人でこなすには、相当な経験が必要です。しかしチームワークの中で、企画やディレクション、撮影、ナレーションといった制作プロセスの一部を担うことは可能です。機材や編集ソフトの進化で、何でも1人でもこなせる時代にはなりましたが、プロセスを分解してみると様々な表現スキルの組み合わせで映像は成り立っています。本講義では、近年の制作現場で得られた最新の知見をお伝えします。
早岡 英介(北海道大学CoSTEP客員教授/ 羽衣国際大学教授)
2025/08/02 サイエンスイラストレーションで伝える科学
科学専門の「サイエンスイラストレーター」と名乗るようになって約10年。これまで大学や研究所、博物館などで鳥類学、昆虫学、魚類学、古生物学、そして生命科学に跨る分野のイラストを描く機会に恵まれてきた。サイエンスイラストレーションはただ見たままをそのまま描けば良いというものではない。伝えたい科学的本質によって、強調して描く部分と、あえて簡略化して良い部分がある。また、誰を対象とするか、何を伝えるかによって、うまくスタイルを調整する必要がある。これまでの経験を振り返りながらイラストの「伝える力」について改めて考え、活用法について紹介していきたい。
大内田 美沙紀(北海道大学 CoSTEP 特任助教)
モジュール3 / 活動のためのデザイン

科学技術コミュニケーターとして実践していく上で、活動を実施するために必要なデザインについて学びます。

2025/08/30 【20周年イベント共同企画】「未来智への40年」~北大発科学技術コミュニケーション~
20世紀、アポロ計画から生まれた宇宙船地球号というコンセプトは私たちが国境を越えて人類として協力し合うことを端的に表したものです。実際に放送や気象衛星、GPSなどの宇宙開発を通じて私たちの日常生活に欠かせないグローバルな情報とつながりました。
21世紀に入り科学技術の専門家と社会を結ぶことでより良い社会が生まれると期待の下CoSTEPが誕生しました。ところが、現在の地球は、急速な地球温暖化、紛争、アンバランスな資源分配など、とても協力し合っている状況ではありません。
今、CoSTEP設立から20年を経て、専門家と市民を結ぶだけでは足りないということが分かってきました。より多様な人と、より総合的な智を紡いでいく必要があるのではないでしょうか。ライフワークとして今まで40年間「先端科学技術と社会をつなげる活動」をされてきた毛利衛さんをお招きし、人類社会が持続的に未来へ生き延びるための知恵『未来智』について語ってもらいます。
毛利 衛(宇宙飛行士・日本科学未来館名誉館長・全国科学館連携協議会会長)
2025/09/06 感情的理解のためのアプローチ
社会で起きている問題に関わるステークホルダーは常に多様です。そして、そのステークホルダーの数だけ「言い分」や「当たり前」があります。対立する他人同士が理解しあうのはとても難しいことです。相手の立場や考えについて、理由や理屈ではなく「腑に落ちる」たり納得することができれば、少しは互いの距離が縮まるかもしれません。本講義では、札幌市民を悩ませる「都市ギツネ」にまつわる問題について、各ステークホルダー(地域住民、都市公園管理者、行政、野生動物研究者、コミュニケーターなど)が、どのように歩み寄ろうとしているのか、CoSTEPでの実習活動も絡めた現在進行形の取り組みをご紹介します。
池田 貴子(北海道大学 CoSTEP 特任講師)
2025/09/20 心が通う科学コミュニケーション:「説明義務」対「監視義務」から「共感」という原初の喜びへ
「科学コミュニケーション」では、科学者と一般市民が対等な関係で「対話」をする。科学者側にとっては「説明義務」であるが、一方市民側にも「監視義務」が生じる。ただし、実際にはそういった義務に縛られた関係性だけでなく、イベント主催者の多くは、「共感を得る喜び」が大きな原動力になっているのではと思う。私はまさにそうで、イラスト、音楽、動画配信など、趣味で培った特技を活かした様々な手段を介して、「楽しく」取り組んでいる。科学者と市民は、根っこでは心で繋がっているのが良いと思う。
河本 宏(京都大学 医生物学研究所 所長)
2025/09/27
e-learning
ミニ・パブリックスと参加・熟議のデザイン
重要な公共的課題についての意思決定に、幅広い市民が参加して議論するための仕組みとして、無作為選出などにより社会の縮図となる一般の人びとを集めて話し合う「ミニ・パブリックス」という方法があります。その代表的な手法であるコンセンサス会議や市民陪審、討論型世論調査などは、科学技術への市民参加にも国内外で長く用いられてきました。近年では、気候変動対策にこの方法を応用した「気候市民会議」が、欧州を始めとして、日本を含む世界各地で行われるようになっています。この講義では、ミニ・パブリックスの概要と応用例を学ぶことを通じて、科学技術に関わる社会的な問題の解決に向けて人びとが共に考え協働するための参加と熟議のデザインについて考えます。
三上直之(名古屋大学大学院環境学研究科 教授)
* 原則としてモジュール3の期間内にe-learningにて視聴すること。ただし、モジュール3の開始前に視聴することも可とする。
モジュール4 / 科学技術の多面的課題

科学技術と社会との接点に生じる問題の具体的な事例をとおして、それらの問題がもつ多面的かつ複雑な構造について適切に理解する思考力を養います。

2025/10/04 The Directions for Science Communication in Asia -based on collaborative experiences-
In this lecture, I will first provide an overview of the background and collaborative efforts undertaken by Korea, Japan, and China over the past 15 years, with a particular focus on the Science Culture Roundtable and the Joint Symposia at the AAAS Annual Conference. Second, I will discuss the challenges posed by global issues such as artificial intelligence, energy transition, and climate change to science communication. Finally, I will propose strategies for advancing cooperation between Korea, China, and Japan, offering insights into the future development of science communication in Asia.
Cho Sook-kyoung(Professor of Korea Institute of Energy Technology)
2025/10/18 「聞く」ことによる合意形成
環境保全などの社会課題解決においては、多層的なあつれきや対立をどう乗り越えていくかが重要になってきます。しかし、合意形成はそんなに簡単ではありません。そのときに鍵になるのが「聞く」ことです。なぜ合意形成は難しいのでしょうか。なぜ「聞く」ことが重要なのでしょうか。「聞く」とは具体的にどういう行為なのでしょうか。また聞いた結果の質的データをもとにどう分析し、そしてそれをもとにどう合意形成すべきなのでしょうか。
宮内 泰介(北海道大学大学院文学研究院 教授)
2025/10/25 メタバース進化論:住人の生活と大規模調査データから見るソーシャルVRの課題と革命性
全身で三次元の仮想空間「メタバース」に没入し「インターネットの中で人生を送ることができる」時代が遂に訪れた。本講義では、解説書『メタバース進化論』の著者「バーチャル美少女ねむ」が、実際にメタバースで人生を送る自身の生活のデモンストレーションを行い、2000名以上を対象に実施した大規模調査データを元にその革命性を解説する。質疑応答の時間を長めに設け、新たな発想の生まれるインタラクティブなセッションとしたい。
バーチャル美少女 ねむ(VTuber / 作家 / メタバース文化エバンジェリスト)
2025/11/08 ELSIから考える科学技術の社会実装と「倫理」
新奇的な科学技術を社会に実装する過程には、「技術的にはできるけど、やっていいんだろうか」という課題が山積しています。それらを「社会的に受容されるか(Social)」「どんな法規制がいるのか(Legal)」、そして「どんな倫理観に基づいてやるのか(Ethical)」の三観点から弁別し、検討の土俵に乗せるフレームワークが「ELSI(エルシー;Ethical, Legal and Social Issues)」です。本講義では、とくにELSIをめぐるコミュニケーションで重要になる「E(倫理)」の語彙を中心に、科学技術の社会実装に際して「哲学・倫理学」がはたす役割を実践的に紹介します。
朱 稀哲(大阪大学 社会技術共創研究センター(ELSIセンター) 招へい准教授/哲学者)
2025/11/15
e-learning
社会問題/社会関係資本を生み出すSNS
現代はインターネット、とりわけSNSによるコミュニケーションが埋め込まれ社会となっている。SNSはフェイク、炎上、分断を煽る情報の流れを生み出す一方、流動化・個人化した社会で求められる他者との接続を維持・管理するためのツールとなり、社会関係資本の蓄積にも貢献している。このSNSの両義性を左右する要素や条件について調査データにもとづき考えます。
前田 至剛(追手門学院大学 社会学部 准教授)
* 原則としてモジュール4の期間内にe-learningにて視聴すること。ただし、モジュール4の開始前に視聴することも可とする。
モジュール5 / 多様な立場の理解

科学技術コミュニケーターが多様な立場の個人や組織と連携する際に理解しておくべき、科学技術コミュニケーションに関わる主要なステークホルダーの立場について学びます。

2025/11/22 すれ違う支援者満足と当事者満足 多様性の時代に求められる回復の視点
医療や福祉において、その質や妥当性を評価するのは難しい。「何を提供したか」という支援者側の視点だけで評価しても、「何をしてもらえたか」という当事者側の視点だけで評価しても、回復の本質からどこかピントがずれてしまう。本講では、精神障害の支援者であると同時に視覚障害の当事者でもある演者が、両方の視点から導いた回復の意味、社会が目指すべきインクルーシブの在り方についてお伝えする。
福場 将太(医療法人 風のすずらん会 美唄すずらんクリニック 副院長/視覚障害をもつ医療従事者の会 ゆいまーる 幹事/公益社団法人 NEXT VISION 理事)
2025/11/29 中国SFの過去・現在・未来
本講座では、中国SFの歴史的な流れと作品、作家について紹介しながら、同時に中国SF独自の発展を遂げてきた「科学普及」の点についても考えていきたい。中国ではSFは科学普及と密接であり、昨今では教育に深く関わってきている。教科書にも星新一や劉慈欣の作品が掲載されたり、大学入試問題にSFが用いられたりしている。またSFを使った幼児教育も盛んである。SFがどのように世間に影響を与えているのか、中国を例に考察していければと思う。
山本 範子(立原 透耶)北星学園大学文学部教授
2025/12/06 民族多様性と「わたし」の位置:大学を例に考える
近年、外国人の増加などを背景に、日本社会の多様化が進んでいると言われています。しかし、日本が「民族的」に多様になったのは、それより100年以上前のことです。あらゆる組織はこれまでも多様でしたし、潜在的なニーズの違いもあります。その多様性を見過ごすことは、合理的な配慮を提供しないことにもつながります。大学の中で過ごす「日本人」の多様性を例に、マジョリティとマイノリティの関係を考えます。
北原 モコットゥナㇱ(北海道大学 アイヌ・先住民研究センター 准教授)
2025/12/10
e-learning
ファクトに基づく調査報道の限界と可能性、ジャーナリズムの本質とは
「カルトと政界」「2世問題」「ワクチン騒動」「ニセ科学」大手メディアが報じないトピックを継続取材してきました。独りよがりに陥らないために重要なのは「ファクトに基づくデータの蓄積」です。独自の調査報道の実例を示し「報道における公平性、両論併記の是非」「被害者を前面に立てる報道姿勢について」「ナラティブベースの報道による弊害の事例」「ドキュメンタリーにおけるコンテンツ消費」「ニセ科学者と思考停止」「報道と科学的正しさ」といった論点・視点から「ジャーナリズムの本質」について話します。疑念をスルーせず問題意識を継続しモチベーションを保つ秘訣。身の危険やリーガル・スレッド(法的威嚇)への対策も。
鈴木 エイト(ジャーナリスト・作家)
* 原則としてモジュール5の期間内にe-learningにて視聴すること。ただし、モジュール5の開始前に視聴することも可とする。
モジュール6 / 社会における実践

社会の中で科学技術コミュニケーションの領域を意欲的に開拓されている方々を招き、これまで歩んでこられたキャリア、活動の背景、現状、課題、原動力、将来の目標などについてお話を伺うことによって、自らのコミュニケーターとしての将来展望を描きます。

2025/12/13 大学の先生芸人が伝えるサイエンスコミュニケーション ~それほど科学に興味がない人にどのように伝えるのか~
科学に興味がない人向けの科学技術コミュニケーション(以下、SC)を専門に研究や実践をする黒ラブ教授と申します。メインは劇場など舞台で科学漫談を軸にいろんな活動を全国でしております。皆さんは芸人になりたいわけではないと思いますが(笑)実は芸人が笑わせるまでの周辺の技術を学ぶと、SCは見違えるほど変わるんです。なので、この回は黒ラブ教授を知ってもらいながら、その技術も簡単にご紹介できればと思います。
黒ラブ教授(吉本興業(大学の先生芸人))
2025/12/20 理系分野に進学する女性が少ないのはなぜでしょうか?
日本では、理系分野に進学する女性の割合が世界的に見ても少ないとされています。特に物理学や数学分野では、その割合が2割程度(またはそれ以下)にとどまっています。この背景にはどのような要因があるのでしょうか?また、これからの社会に向けて、私たちはどのような取り組みができるでしょうか。皆さんと一緒に考えたいと思います。
一方井祐子(金沢大学人間社会研究域地域創造学系・准教授)
2026/01/10 エンターテインメント業界の武器としての科学、その意義と価値
本講義では、漫画家・原作者としての経験を通じて得た、サイエンスとエンターテインメントを融合させる技術と意義について語ります。フィクションの説得力としての科学という武器の使い方、また科学的正確性と物語としての嘘をどのように両立させるかのテクニック、社会的影響を意識した監修業務の重要性など。科学コミュニケーション力がエンタメ界においていかに嘱望され、ビジネスとしての価値を創出するのかを実務に基づいて解説します。
蛇蔵(漫画家・原作者)
2026/01/24 STI政策の中の科学技術コミュニケーション、STI政策への科学技術コミュニケーション
日本の科学技術(・イノベーション)政策は1995年に科学技術基本法が制定されて以降、これまで6期、各5年間の基本計画に基づいて推進されてきました。2026年から第7期科学技術イノベーション基本計画が開始予定です。講義ではまず科学技術コミュニケーションを軸にSTI政策の進展と今後の方向性を説明し、次にSTI政策を立案する上で様々な専門家がどのように行政とコミュニケーションを取っていけば良いのか、間をつなぐKnowledge Brokerに求められる役割なども合わせて議論します。
菊地 乃依瑠(国立研究開発法人 科学技術振興機構 研究開発戦略センター フェロー)
2026/01/31 CoSTEPの講義を振り返って
CoSTEPで開講された講義を振り返り、「科学技術コミュニケーションの思考」、「情報の分析と行動のための計画手法」、「科学技術コミュニケーション実践」に関わる知識や技能、そして実践事例のポイントをCoSTEP教員が解説していきます。本講義を通して、講義内容の理解を深め、一年間の学びの省察をし、今後の実践活動に関連付けていくことを目指します。
CoSTEP 教員