2015 CoSTEP10周年
CoSTEP私史|杉山滋郎

3. 深める34.
コンセンサス会議、実現に向けて

1990年代末から日本でも、コンセンサス会議という対話手法が、遺伝子治療や高度情報社会(特にインターネット)などをテーマに試みられるようになり、専門家と非専門家(市民)が対等な関係で議論し、専門家も非専門家も互いに学び合う場として注目を集めていた。

そこで振興調整費に応募する時の計画書にも、「コンセンサス会議の実施」を実践活動の一例として挙げておいた。スタッフの採用にあたっても、コンセンサス会議を実施できる布陣となるよう配慮した。

現実に実施できる可能性が出てきたのは、2005年の6月頃だっただろうか。松井 博和 氏(農学研究科教授)から、北海道でのGMO作物の栽培をテーマにコンセンサス会議を実施できないか考えている、という話があったのだ。松井氏はこの当時、北海道「食の安全・安心委員会」の委員として、交雑や混入を防止するための措置について専門部会などで検討していた。その過程で「食のリスクコミュニケーション」も必要だという議論が出てきていたのである。