科学コミュニケーターとしての気象キャスター
菅井 貴子
フリーキャスター・気象予報士、北海道文化放送 気象キャスター
2015.3.18
CoSTEP創立10周年おめでとうございます。科学技術においては、特にこの10年の進歩は大きく、気象科学の分野でも観測技術や予報精度が格段に上がっています。
私の務める気象キャスターの役目は、科学技術と生活情報の橋渡しかもしれません。天気予報に登場する「晴れマーク」の裏側には、たくさんの科学情報が集積されています。快晴か、もしくは、雲量が何割あるのか、紫外線強度、何時間続く晴天か。予報精度の高い「晴れ」か、雨予報に変わる可能性のある「晴れ」か。最も厄介な「晴れ」は、気温上昇につれて、大気の状態が不安定になるケース。晴れれば晴れるほど、ゲリラ豪雨の可能性が高まる「晴れ」です。気象科学の複雑な事情を踏まえながら、科学に忠実かつ、わかりやすく天気情報を伝える必要が出てきます。
科学の素晴らしさを知る一方、まだ完全ではなく、技術発展の余地と可能性があること。そのような科学をより多くの人と共有したいと思う気持ちが、「科学と一般市民の橋渡しができる科学コミュニケーター」にも大切な事と、気象キャスター業務を通しても感じています。今後益々の期待が高まる中、一層のご活躍を祈念しております。