グローバル化の中で活躍が求められる「CoSTEP人材」
鈴木 章
北海道大学名誉教授
2015.2.24
CoSTEPが2005年の創設以来10周年を迎えるに至ったことを、心よりお慶び申し上げます。
昨今、大規模自然災害への対応におけるアカデミズムの果たすべき責任や、研究不正問題が指摘される中での研究者コミュニティの信頼回復は急務であります。また、日本の研究力、それを担う人材育成システムと研究環境、研究シーズを社会に活用していくための構想と支援制度は、昨今の厳しい国際競争環境の中で、ますますその真価を問われるようになってきています。
国内では少子高齢化や地域格差が進行し、国際社会では新興工業国が台頭し、経済のグローバル化が進展する中で、日本社会をとりまく状況も急速に変貌し、もはや我々は過去の「成功体験」を模倣するだけでは立ちゆかなくなってきております。しかし、これらの課題は、これまで歴史上幾多の困難を克服してきた日本人にとって大いなる「機会」でもあります。そしてその機会を活かす鍵は「人材」にあります。
社会に必要とされ、社会を創造していく独創性と実行力を持った人材を輩出するために、北海道大学に存在するCoSTEPという人材育成組織の役割は、日本でも極めてユニークかつ大変重要なものであると認識しております。知のフロンティアを開拓し、様々な地球規模の課題に立ち向かっていけるような、世界に冠たる「人材育成立国」として日本が国際社会で重要な役割を果たし続けるために、CoSTEPの受講生、修了生、そしてその教育を担うスタッフには、大いに期待いたしております。