1. 立ち上げる14. なぜ社会人を?
CoSTEPでは、どうして(東京大学や早稲田大学の同様のプログラムと違って)大学院生以外の一般の社会人を受け入れているのですか? こんな質問を、よく受けた。社会人と大学院生がいっしょに学ぶという仕組みは受講生にも好評で、彼ら/彼女らからと尋ねられることも少なくなかった。
なにか深遠な考察のもとに構想したと思われているフシがあるが、じつのところは単純で、大学院生だけで「養成目標人数」を達成することは難しいだろう、そう判断したことが理由の一つである。
科学技術振興調整費の人材養成プログラムには、「5年間で50名以上」の人材を養成すべし、との条件がついていた。
振興調整費に応募するとき、この数値目標の達成はかなり難しいと判断した。なにせ、「サイエンスカフェ」や「科学技術コミュニケーション」という言葉すら、ほとんど知られていなかったのだから。
そこで応募時の提案書では、「コミュニケーター・コースⅷ」での養成人数を、1年目は5名、2、3年目は各10名、4、5年目は各15名、5年間で計55名とした。
正直なところ、これでもなお不安が大きかった。なので、「受講希望者のための説明会」を開催するなど、背水の陣で臨んだのだ。
ⅷ このほかに「研究者コース」(=大学院理学院の自然史科学専攻にある科学コミュニケーション講座)もあった。