科学技術白書の編纂を通じて
行松 泰弘
文部科学省研究振興局基礎研究振興課長(2014年6月4日まで北海道大学大学院工学研究院工学系教育研究センター教授)
2015.3.18
私のCoSTEPとの関わりは文部科学省での科学技術白書の編纂の業務を通じて始まりました。まず平成23年版科学技術白書では、我が国における様々な社会と科学技術の関わりについて整理、分析する中で、科学技術に関するコミュニケーター養成講座の卒業生の活動として、CoSTEP修了生の活動を紹介し、さらに、翌平成24年版科学技術白書では、科学技術への市民参加に関する先進的な取り組みとして、CoSTEPが実施したBSE問題に関する討論型世論調査を紹介しました。
この二つの白書の編纂を通じて、東日本大震災と福島第一原子力発電所事故という未曽有の災害を経験した我が国において、科学技術コミュニケーションに期待される役割も大きく変化していると感じます。東日本大震災が突きつけた、科学者、技術者への不信という問題もあります。良きにつけ悪しきにつけ社会と科学技術が不可分一体となっていく社会の中で、科学技術コミュニケーション活動の役割は、科学や技術による社会的課題の解決をサポートすること、ひいては、社会がそれらの問題の解決のためのよりよい政策の形成を促すことまで広がっているように思えます。それを達成するために、これからの科学技術コミュニケーターは、どのような「作法」で科学や技術を語るのか、伝えるのか、が問われていると思います。
これからのCoSTEPの活動に大いに期待しています。