CoSTEPと私のこの10年
松井 博和
北海道大学名誉教授、酪農学園大学特任教授
2015.3.18
月日のたつのは早いもの、もう10年ですか。550名にものぼる多くの修了生の数は杉山先生や松王先生はじめ、関係の皆様の努力の賜物と敬意を表します。
立ち上げ時、私は全国に先駆けて作られた北海道の遺伝子組換え条例の策定に関わっていました。座長として、まさに科学技術コミュニケーション力が試されていたのです。2週間に1度、1回4時間ほどの市民対話が何度もなんども繰り返され、伝える力の必要性を身をもって感じていました。この経験を受講生に話す機会が得られ、今では懐かしい思い出となっております。
CoSTEPの足跡と重なるこの10年、一般市民以外にも小中高生に遺伝子を中心とした生命の尊さや科学技術のあり方を話す機会が得られ、2013年度の文部科学大臣表彰科学技術賞(理解増進部門)受賞の栄に浴することができました。
現在は、北海道庁から新たな宿題、産業用大麻可能性検討会の座長の場を与えられています。戦前は普通の農作物であった大麻がアメリカ主導の取締法によって規制され、全ての大麻が悪いイメージを持たれていますが本当はそうではありません。ルールはルール、駄目なものはダメでは思考停止となります。科学コミュニケーターの一人として、国民一人ひとりの判断力が増し、より責任ある行動がとれるような科学の文化が成熟するようにこれからも努めます。
最後に、CoSTEPと関係の皆様の益々のご発展を祈っております。