誰が科学技術コミュニケーターを 必要としているか
栃内 新
北海道大学特任教授(2005年から2010年までCoSTEP運営委員)
2015.2.24
現在のCoSTEP(科学技術コミュニケーション教育研究部門)の前身CoSTEP(科学技術コミュニケーター養成ユニット)は、2005年の夏に登場し予定の科学技術振興調整費委託の5年間で終了となったが、2010年から北大が独自の事業として継続している。金の切れ目が縁の切れ目にならなかった最大の理由は、CoSTEPで科学技術コミュニケーション能力を身に付けた学生、教職員が予想外に「使える」ことがわかったからだ。
文科省の資金で始まり国立大学法人の組織となったCoSTEPを「御用」コミュニケーター養成・コミュニケーション研究組織だと考える人もいる。パトロンの思惑はどうあれ、本気で科学技術コミュニケーションするにはプロの科学者以上に客観性が必要だ。そして、成功した科学技術コミュニケーションは多くの人に理解される結果、「御用」はすぐばれる。科学が誰の味方でも敵でもないのと同じように、科学技術コミュニケーターも誰の味方にも敵にもなれない。一方、科学技術がこれだけ人類の生活に深く関わってしまっている今、もう科学技術コミュニケーターなしで世界は動かない。つまり、科学技術コミュニケーターは将来にわたっても供給され続けなければならない必要な構成員として社会が必要としている。もう止められない。