科学コミュニケーション2014: これまでの10年&これからの10年
有本 建男
政策研究大学院大学教授、科学技術振興機構 研究開発戦略センター副センター長
2015.3.18
今年から来年にかけて、わが国の科学技術政策は大きな区切りの時を迎える。すなわち、科学技術基本法が制定されて20年。21世紀の科学の責務を謳ったブダペスト宣言(「社会のなかの、社会のための科学」)から15年。国立大学が法人化し、日本学術会議が新制度になり、米国パルミサーノ報告が世界中にイノベーション・フィーバーを起こして10年。そして、CoSTEPをはじめ日本の科学コミュニケーション・プログラムが、本格化して10年。
今年のダボス会議のテーマ “The Reshaping of the World – Consequences for Society, Politics and Business”が示すように、今世界の社会経済システムは数百年オーダーでの大転換の最中にあり、大学も科学技術もそして科学者も、社会の中での存在価値と役割を厳しく問われている。
2011.3.11東日本大震災の経験と反省は、科学コミュニケーションに新しい地平を切り拓きつつあるのか。1755.11.1経済的繁栄を極めていたリスボンに起こった大地震と津波は、ヨーロッパ全域の啓蒙思想を多様で豊穣なものに変容させたはずである。翻りわが国はどうか、世界が注目している。
科学コミュニケーションの次の10年は、リメンバー3.11から始まると思う。関係者は日常に流されることなく、強い意志をもってその方向を定める責務がある。来年末の決定を目指して、政府の第5期科学技術基本計画の準備はもう始まっている。