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122サイエンスカフェ札幌「のばして、ちぢめて、動きだせ冷たいからだもホッとする、ストレッチ科学〜」を開催しました

2022.2.22

(カフェの動画はこちらからご覧になれます)

2022年2月12日(土)、寒川美奈さん(北海道大学 大学院保健科学研究院 准教授)をゲストにお招きし、第122回サイエンス・カフェ札幌「のばして、ちぢめて、動きだせ〜冷たいからだもホッとする、ストレッチの科学〜」をオンラインで開催しました。カフェの聞き手は原健一(CoSTEP博士研究員)が務めました。寒川さんは、北大の研究者として寒冷地でのストレッチの効果などについて研究しています。また、理学療法士として、トリノ、バンクーバー、ソチ、リオ、そして2020年の東京での五輪に同行しています。今回のカフェでは、理学療法士の仕事を紹介することを通じて、寒い季節に効果的なストレッチの方法を科学の観点に基づいて紹介することを目指しました。

(カフェのゲストの寒川美奈さん(右)と聞き手の原(左)。今回寒川さんにはリオのオリンピックのユニフォームを着てもらいました!)

札幌でも連日記録的な大雪が続くなど、とても寒い日々が続いています。こんな寒い季節にはからだが冷えて硬くなっています。また、新型コロナ感染症の影響でオンラインでの仕事が多くなると、からだがなまってしまっている方もいるでしょう。今回のカフェでは、効果的なストレッチを皆さんと一緒に実演することを通じて、在宅がつづく寒い季節の冷えて硬くなったからだをみんなで一緒に「ホッと」温めてみたいと思います。

(今回のカフェの進行)

寒川さんのお話しは大きく分けて三つのパートから成ります。一つめは、理学療法士の仕事の紹介。二つめは、ストレッチの効果の科学的な研究について。三つめは、冷えたからだに効果的なダイナミック・ストレッチの実演です。

①理学療法士の仕事

寒川さんは理学療法士を「病気やケガの回復を促し、社会や日常生活に戻る手助けを行う仕事です」と紹介します。寒川さんはオリンピックなどのスポーツの現場でアスリートの方々の運動指導を行なっていますが、多くの理学療法士の方々は病院などに務めています。そこで、(1)物理療法、(2)装具療法、(3)運動療法という三つの方法を使い分けて、ケガなどからの回復、日常生活への復帰を支援するのが理学療法士の仕事の主なところです。今回扱うストレッチは、これら三つのうちの(3)運動療法に当たります。

②ストレッチの科学的研究

さて、そのストレッチは科学の観点からどのように研究されているのでしょうか。からだをのばして、ちぢめるという動きを繰り返すことで筋肉や神経に変化を及ぼし、運動パフォーマンスが向上するなどの効果がストレッチには期待されます。また、柔軟性の向上やケガの予防といったからだに対する効果だけではなく、ストレスの軽減など、心への影響もあると寒川さんは言います。

このような効果などについての科学的研究の結果は数値とグラフで表現されます。例えば、特殊な器械を用いて足首を伸ばし、そこから足首が反発する力を数値のデータとして得ます。そして、そこで得られた数値のデータをグラフにすることで、柔軟性や硬さを客観的に示していくのです。女性よりも男性の方がからだが硬いといった結果も、このように数値化してグラフにすると、目に見えるグラフの「傾き」として表現され、共有されるのです。

では、その科学的な研究によると、どのようなストレッチが効果的なのでしょうか。ストレッチには大きく分けて二種類あります。一つが、時間をかけて筋肉をじっくり伸ばすスタティックストレッチです。もう一つは、関節をフルに動かして筋肉をのばしたりちぢめたりするダイナミックストレッチです。それぞれのストレッチに固有の効果が期待できるのですが、今回は寒い季節に冷えたからだを温めるのに効果的なストレッチとして、ダイナミックストレッチが紹介されました。

ダイナミックストレッチの研究に寒川さんが関わることになったきっかけの一つが現場での経験です。スキーの選手としての経験もある寒川さんは、選手たちが足を力強く振りながらからだを温めるという方法の効果を科学的に検証しました。そして、最近の研究では、ダイナミックストレッチに柔軟性の改善や筋力発揮の改善の効果が期待できるという結果が示されています。こうした結果もまた、数値化してグラフにするという過程を経て提示されていました。

③ストレッチを実演!

というわけで、このダイナミックストレッチを画面の前の皆さんと一緒に実演しました。今回はパソコンの前に座りながらできる肩甲骨を中心にした健康づくりに役立つダイナミックストレッチを三種類紹介しました。寒川さんの解説と掛け声にのって、みんなで一緒にからだをのばして、ちぢめて、大きく動くことで、からだをホッと温めていきます。ゲスト、ファシリテーター、視聴者がおのおのオンラインで離れた場所からの参加となりましたが、みんなで一緒に動くことで、身体を通じたオンラインでの心のつながりを実感できたのではないでしょうか。

ぜひ動画もご覧になってください。オンラインでのサイエンス・カフェでストレッチを用いた双方向的なコミュニケーションができたならば幸いです! 寒川さん、ありがとうございました!