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「対話」を考え続けた1

2024.3.21

藤田 青空/2023年度 本科 対話の場の創造実習
北海道大学 文学院 修士1年


私は普段、文学院で環境社会学という分野を学んでいます。今まで研究を続ける中で、科学的知識と市民の自然保全活動のすれ違いを見てきました。そんな時にCoSTEPを大学院の先輩から紹介してもらい受講に至りました。自分自身は科学技術について勉強したことはなかったため、市民の側からコミュニケーションをするためにはどうしたら良いのかを考えたかったというのが動機です。

対話の場の創造実習班(対話班)では、主にサイエンスイベントの企画・運営を行いました。私は、紀伊国屋書店のインナーガーデンで行った鉱山開発に関わるサイエンスカフェや円山動物園での外来生物イベントを担当しました。今年、対話班では12人の受講生が在籍していたため、5〜7人のグループに分かれて毎週の実習を行ってきました。イベントの内容やテーマから受講生で決めることもあったため、「こんなに任せてもらえるのか」という驚きもありました。

私が対話班で学んだのは「受け手のことを考える」ということです。これは、コミュニケーションをする上で当たり前のことかもしれません。このことは特に、鉱山開発にまつわるイベント「採鉱学再考」の中で行うワークショップを考案した時に強く実感することになりました。私たちは、あまり日常生活で耳にすることがない採鉱学という分野を身近に感じてもらうため、ワークショップを設計しました。しかし、完成するまでの道のりは単純なものではなく、何度も作り直し、試行錯誤の連続でした。やっと完成したと思っても、参加者にとって意見を発しづらい内容になってしまったり、ファシリテーションの仕方が相手に不快感を与えるものになってしまったり、考えなければならないことは山積みでした。先に述べたように、相手に配慮することはコミュニケーションの基本だと思いますが、イベントを作る時には見失っていました。伝えたいことが飽和状態で、情報を相手に押し付けるような状態だったのです。

(実際の「採鉱学再考」でのワークショップの様子)

思い返せば、その状態は対話班のグループの中でも起こっていたと感じます。対話班には多様な仲間がおり、これまでの経験も得意分野も異なった人たちと議論をすることになります。そのような中で表現方法、考え方、前提が違う人と意見を交わすのは、少し工夫が必要だとわかりました。今までの自分の伝え方ではなんとなく伝わっていない気がしていたし、相手の言っていることもあまり理解できていませんでした。自分本位のコミュニケーションだったのだと思います。そこから、時間が経つにつれて、次第に相手のことを知り、各個人に対してより伝わりやすい表現を模索してきました。「相手に伝えるには?」ということを常に考えるようになりました。「対話の場」はイベント準備の時から広がっていると思います。

CoSTEPは、科学技術コミュニケーションを学べることはもちろん、これまでに出会ったことのないさまざまな人と活動することができます。科学技術コミュニケーションや対話の場には複数の切り口があると思っているので、何か1つでも引っかかるものがあればぜひ参加することをおすすめします。


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