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2025年度 選科C活動報告

2025.10.29

2025年10月11日(土)・12日(日)・13日(祝・月)、CoSTEP21期選科C集中演習が実施されました。グラフィックに特化したこの選科集中演習は今回で3回目の開催となります。今年度は人数を絞り、全国各地から11名の受講生が札幌キャンパスに集まってそれぞれが取り組む科学技術コミュニケーションの活動をインフォグラフィックで表現しました。

(今年のテーマカラーはグリーン!そのせいか、グリーン系の服の人が多いようです)

集中演習は、グラフィックを専門とする大内田美沙紀(CoSTEP特任助教)、池田 貴子(CoSTEP特任講師)、朴 炫貞(CoSTEP特任講師)による全体レクチャーと、2班に分かれてのグループワークとピアレビューで進められました。今回は少人数での開催となることから、部屋割りをコンパクトにし、グラフィック指導担当が班担当も兼任しました。

(選科C開催初日、ガイダスを行う大内田特任助教)
【1日目】

初日の午前はガイダンスとアイスブレイクから始まり、演習で使用するオンラインツールCanvaに慣れるためのワークとして、自己紹介インフォグラフィックを制作しました。

(アイスブレイクで自己紹介し合う受講生たち)

昼食は北海道名物スープカレー!カレーの種類や辛さについては事前にアンケートを取り、データとして残してあります。さらに選科Cに加え、選科AとB、つまり今年度の集中演習の受講生全員のカレーの好みがデータにとってあります。今年は新しい試みとして、それらのデータを題材にしたインフォグラフィックを制作しました。「スープの種類」「具材」「辛さ」など、自由な切り口で1時間ほどの短い制作時間ながら、皆Canvaのグラフ機能を使いこなすことが出来、多彩な作品が生まれました。

(スープカレーを楽しむ受講生。インフォグラフィックの素材としてカレーの写真を撮る人も)
(翌日、受講生が作ったカレーデータのインフォグラフィックをレビューする教員。同じデータを使ったワークでしたが、それぞれ切り口やデザインが異なり、バリエーションのあるインフォグラフィックが出来ました)

午後は、朴特任講師によるインフォグラフィックの意義と事例紹介のレクチャーがありました。何が良いデザインかを知るには、既に存在する良いデザインを浴びるように見ることが重要です。本制作に入る前に、まずは良い事例をたくさん見て頭に焼き付けてもらいました。

(制作を始める前の「問い」について投げかける朴特任講師)
(レクチャーの途中、人の視点について考えさせられるワークで盛り上がりました)

レクチャーの後は2班に別れて、いよいよインフォグラフィック制作の開始です。初日はグラフィック制作よりは、「何を一番伝えたいのか」、「目的は何か」、「誰に届けるのか」を改めて整理することに時間を使います。各班でじっくり共有し合うことから始めました。

(池田班の様子)
(朴班の様子)
【2日目】

2日目からは具体的なグラフィック制作スキルをレクチャーしていきます。
午前は池田特任講師による「デザインの文法」をテーマにレクチャーがあり、グループワークを挟んだ後は大内田特任助教によるグラフィカルアブストラクト制作のプロセスを紹介しました。受講生は制作を進める中で具体的な課題を抱えながらレクチャーを受け、自分の作品をどう改善すべきか考えを深めていきました。

(事例としてサイエンスカフェのチラシデザインを紹介する池田特任講師)
(レクチャーの途中、今回も楽しいワークで盛り上がりました)
(ノーベル賞ウィーク直後の日程だったため、ノーベル賞財団のWebページでのグラフィックの使い方を紹介する大内田特任講師)

初日に比べ、受講生は制作の方向性を固めつつありましたが、悩みも多く抱えていました。そのため今年は新たに、2日目の夕方に全体レビューを導入。教員全員からの率直なコメントを受け、「もう2日目、されどまだ2日目!」という気持ちで、さらなる変化に挑む時間となりました。

(2日目の全体レビューの様子。それぞれの現状に対するフィードバックを真剣に聞く受講生)

グラフィック制作は本来孤独な作業ですが、対面で集まり過程を共有することに大きな意義があります。受講生たちは黙々と制作を進めつつ、時には互いに、あるいは教員に意見を求めながら、試行錯誤とブラッシュアップを繰り返しました。

【3日目】

最終日は3日間の成果を発表するプレゼンテーションです。制作の過程や工夫も交えつつ、1人5分以内で発表と質疑応答が行われました。11名全員が最後まで諦めずに取り組み、それぞれのベストを尽くした成果物を完成させました。

(最終発表の様子)
(発表を聞く人も正直なコメントを付箋に残します。同じくインフォグラフィック制作をしたから分かる気づきもあるはず)
【振り返り】
(3日間のワークで出来た全てのインフォグラフィックスは、途中経過のものも含めて全て張り出し、一覧できるようにしてあります。最終発表のコメントは付箋にして全員分貼り付けます)

今回もインフォグラフィックを用いた振り返りを3日間通して行いました。今年度は「選科Cloud(クラウド)を超えて」という名の振り返りです。鳥をモチーフにした手作りの付箋を用い、「まなび」を得た人は雲の上、「なやみ」がある人は雲の下の雨の中に貼ってもらう仕組みです。

(「選科Cloud」に付箋を貼る様子)

最終日には3日目にて得た学びと悩み、そして全体を通して得たことを虹の周りに貼ってもらいました。今回は大きい付箋にしたこともあり、振り返りの紙はこれまでの倍の大きさになってしまいましたが、皆びっしりと付箋の中に学びや悩みを書いてくれました。

(初日の「選科Cloud」)
(最終日の「選科Cloud」)

今回の選科C集中演習は、例年に比べ前半はスローペースな人が多い印象でしたが、ほとんどが2日目で追い込み、最後日に大きく成長を見せる受講生が多い回となりました。孤独になりがちなグラフィック制作を対面で共有し合い、互いに刺激を受けながら取り組んだ3日間は、学びと悩みの両方を蓄積する濃密な時間となりました。

集中演習は終わりましたが、CoSTEPでの学びはここからさらに続きます。今回の経験を講義や修了式に活かし、修了後にはそれぞれの現場での科学技術コミュニケーション活動へとつなげていって下さい!

(最終日、外での集合写真。お疲れ様でした!)