【レポート:古家衣梨(北海道大学環境科学院修士1年・2013年度CoSTEP本科受講生)】
夏らしい、少し汗ばむ一日となった8月7日水曜日。今年も北海道庁・北海道立総合研究機構(道総研)主催の2013サイエンスパークに、CoSTEP本科のグラフィックデザイン実習生がワークショップ企画を出展しました。未来を担う子供たちに、科学を身近に体験してもらい、理解を深めてもらおうと企画されているイベントです。
私たちのイベントタイトルは「まるでカメレオン!?光る生物の世界の不思議!」。第70回サイエンス・カフェ札幌「光る分子が世界を描く〜カメレオン発光体、発明!」にゲストとして参加してただいた長谷川靖哉(はせがわ やすちか)先生率いる、北海道大学工学院 先端材料化学研究室(長谷川研)と協力して参加しました。「先端材料化学×生命科学×デザイン」のまさに夢のコラボレーションです。
〈「蛍光」という切り口から私たちの「世界」を覗いてみよう!〉これがこのイベントのテーマです。長谷川研で発明された鮮やかに光る発光分子。これは私たちの未来をより鮮やかに、より便利に変えてくれる、素晴らしい発明です。そして、実は自然界にも鮮やかに光る生物はたくさんいます。どちらの「蛍光」も、とても素晴らしい。その素晴らしさを伝えたい。そんな思いがこのイベントには込められています。
当日、会場には小学校3年生から6年生まで20名の子どもたちが集まりました。蛍光ピンクのTシャツを着て司会を務めるのは“えりやん(古家衣梨)”です。「みなさん、こんにちは!」元気な挨拶からイベントが始まりました。最初は魔法の液体実験。子供たちの目の前には透明な液体の入ったビンが並べられています。一人の男の子にブラックライトを当ててもらいました。すると、なんと鮮やかな緑に光るのです。「すごーい!」と会場から歓声があがりました。他のビンを照らすと今度は赤、そして今度は青、と3色の蛍光を発する魔法の液体。「今日はこれを使ってみんなと楽しくサイエンスアートに挑戦しましょう!」との言葉に子供たちの目はわくわくでいっぱいでした。
「さて、みんな、ちょっと横を見てみましょう。」その一言を受けて、目線を横にずらすと、そこには、森と海が描いてある小さな世界がありました。横に並んでいるのは、白衣に身を包んだ“森博士(阿部万純さん)”と“海博士(藤田拓矢さん)”。「自然界にも蛍光はたくさんあります。光る生物をみんなで探しに行きましょう!」カラフルなTシャツを着たリーダーの大学院生、“かずねーさん(渡邊和音さん)”“なおねーさん(佐藤奈緒さん)”“すーさん(鈴木勇喜さん)”“ばーさん(高畠勇さん)”と一緒に小型ライトと生物図鑑を持ち、子供たちは小さな世界に探検に行きました。
その世界には白黒の生物が7種描かれています。それらは、実は蛍光塗料で描かれており、ライトを当てると、蛍光を発する仕組みです。子供たちは元気に動きまわり、光る生物を観察していました。博士たちは元気な子供たちに負けじと、光る生物の解説をしてくれます。また、この日のためにデザイン班で作った図鑑には、7種の生物の説明が写真と一緒に書かれています。「今日みんなに紹介した生物はたった7種類だけだけど、世界には本当はもっといっぱいいるんだよ。」と教えてもらった子どもたち。イベントは順調に進みます。
そして次は、お待ちかねの魔法の液体(蛍光塗料)を使ったデザインワーク。「魔法の液体を使って、自分だけのオリジナル光る生物をデザインしよう!」テーブルに向かった子どもたちの顔は真剣そのもの。クレヨンと魔法の液体を使って、みんなが思い思いの光る生物をデザインしていきます。光るイルカ、光るヘビ、光るお花、光るクワガタ…などたくさんの生物が生まれました。色を塗って、ライトで照らして…、真剣だけど、どこか楽しそうに描いている姿が印象的でした。
まだまだ終わりません。次は長谷川研プレゼンツの「もっとすごい!光るふしぎ実験」です。蛍光ペンやオロナミンCなど身近なものが光る実験。そして一番盛り上がったのは、カメレオン発光体のスペシャル実験でした。何の変哲もない白いカメレオンの絵。ライトを照らすと黄色に光りました。それをドライヤーで温めていくと…なんとカメレオンがオレンジ色に変化しました。大人たちもびっくり。それをさらに今度は氷水につけると…今度は緑色に変わりました。会場からは大きな拍手。これは、「カメレオン発光体」と呼ばれる全く新しい発光分子を使った実験です。この研究成果は、スペースシャトルの設計にも応用されるとのこと。まさに未来の科学技術を支えるの研究なのです。そして、「将来研究者になってみたいな、と思った人はいますか?」の質問には、「はーい!」と答えてくれる子どももいました。これは私たちもとても嬉しかったです。
いよいよ最後です。子供たちに描いてもらった光る生物たちを、森と海の世界に貼り付け、今日だけしかできない、「光る生物世界」を参加者全員で完成させました。子供たちには、自分たちの描いた生物の住処を考えてもらいました。中には空飛ぶ光るタコなど、ユニークなものもありました。
シメはみんなで記念写真。最初から最後まで子ども達の笑顔と笑いの絶えない楽しいイベントとなりました。
今回のイベントでは、CoSTEPのグラフィックデザイン実習班の山田規子さん、阪井陸真さんは当日の参加ができませんでした。しかし、企画・制作からCoSTEPデザイン班6人×長谷川研4人で力を合わせ、最高のイベントを作り上げることができました。当日は、CoSTEPの先生方や先輩たち、映像実習の前田恭幸さんにもサポートしてもらい、無事、イベントを終えることができました。この場を借りて御礼申し上げます。
もしかしたら、第2回、第3回のデザインワークショップ「光る生物世界!?」があるかもしれません…。詳細はまだひみつです。お楽しみに!
【おまけの記念写真:企画会議の一コマ(MTGカフェの様子)】
左から長谷川研のみなさん(渡邊さん、高畠さん、鈴木さん、佐藤さん)、グラフィックデザインの仲間(阿部さん、古家、山田さん、藤田さん、阪井さん)、撮影は大津珠子先生