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『科学技術コミュニケーション』13号の合評会を開催

2013.8.21

 雑誌『科学技術コミュニケーション』の合評会が8月3日(土)に開催されました。

主催は有志による「JJSCを読む会」実行委員会です。CoSTEPも開催に協力したためこちらにて報告させていただきます。

初回の題材となったのは、第13号掲載の『知識の状態を提示すること : 再生医療にかんするグループインタビューにおける参与構造の分析』(秋谷直矩 他)と『地球規模での「科学技術への市民参加」はいかにして可能か?:生物多様性に関するWWViewsの討論過程の参与観察から』(郡伸子 他)の2本。

会場には15名が集まり、Ustream中継でも8名が参加しました。

一本目の秋谷論文は、人々は会話においてどのように自らの知識状態を示し、他者との関係性をつくっていくのかを、再生医療を題材にした会話の分析から明らかにした論文です。

著者の秋谷さんは京都在住のためスカイプで参加し、評者の川本思心さん(北大CoSTEP)や参加者とやりとりをしました。知識に関して他者と関係性をつくる方略にはどのようなものがあるのか、本論文で述べられている「知識」はどのような定義なのか、再生医療という誰も当事者になっていない話題の特殊性と結果との関係などが議論されました。

二本目の郡論文は、2012年9月に開催されたWWViewsを題材にした論文。参加者はグローバルな議題と自身の日常の間にある文脈ギャップをどのように埋めているかを観察から明らかにし、WWViewsの改善へつなげることを探る論考です。

評者の平川全機さん(北大農学研究院)は文脈ギャップそのものの意味を問い直し、ギャップは克服すべきものなのか、議題(問い)に対する答えだけではなく、問いそのものを発することに科学技術コミュニケーションの意義があるのではないか、というコメントをしました。これについて、Webを介して参加した方からも意見がでて、活発に議論がされました。

今回は初めての企画で、参加者の専門分野も理工系から人文社会系までと幅広いため、参加者同士の基礎的理解に関するギャップを明らかにしながらの議論になりました。

12月に発行予定の第14号についても「読む会」の開催が予定されているようです。ぜひ継続的に開催し、多様な分野から科学技術コミュニケーション研究に参加している方々にとって、実り多い議論の場になっていってほしいと思います。