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社会情報学会 学会報告賞受賞インタビュー

2015.9.17

9月12日、明治大学リバティータワーにて、2014年度 社会情報学会学会賞表彰式がおこなわれました。今年度からCoSTEP特任助教に就いた種村剛さんが、社会情報学会 学会報告賞を受賞しました。受賞にあたって、種村さんに学会発表についてインタビューしました。

——学会発表ではKP法を使ったそうです。

私は、第10期の CoSTEP 選科受講生です。KP法(紙芝居プレゼンテーション法)を知ったきっかけは、CoSTEP の講義と演習でした。講師の増田直広さんが、KP法を使った講義をおこなっているのを見て「これは興味深いプレゼンの方法だ」と思いました。

そして、9月に実施されたプレゼンテーションスキル演習の e-learning 配信を視聴していると、受講生の一人がプレゼンにKP法を用いていました。パワーポイントを使ったプレゼンが多い中で、KP法を使ったプレゼンはとても印象的でした。これらをきっかけにして「KP法を使って学会発表をやってみたら面白くなるのではないか」と考えました。

審査員からは「プレゼンの手法がユニークだった」と講評されました。学会報告賞を受賞できたのは、CoSTEPのおかげだと思っています。

——学会発表でKP法を使う際に、気をつけたことはありますか。

一般に、KP法はA4の紙を使います。しかし、学会の教室は広いので、あえてA3の紙を使うことにしました。教室の黒板を埋め尽くすつもりで多めの資料を用意したこともよかったと思います。資料の裏にマグネットシートを事前につけておくことで、黒板に資料を掲示する時間を短縮して、テンポよくプレゼンできるようにしました。

(KP法を使ったプレゼン、黒板全面に資料が掲示されている)

——KP法の利点としてはどのようなものがありますか。

三つあります。パワーポイントを使ったプレゼンでは、質問に応じてスライドをいちいち巻き戻すことがよくあります。それは、登壇者にも質問者にもイライラする時間だと思います。その一方で、KP法はプレゼンが終わると、資料が一覧できる状態になっています。すぐに質問に該当する資料にあたることができます。これはKP法の優れた点だと思いますね。

二つ目は、黒板を使っているので「板書を使った説明」が併用できます。スライド形式のプレゼンの最大の欠点は「書きこみながら説明することが難しいこと」だと思います。

最後に、これは私だけかもしれませんが、パソコンとプロジェクタを使ったプレゼンには「画面がうまく映らない」ことについての不安がいつでもつきまといます。KP法は紙と黒板を使ったプレゼンなので「最悪でもなんとかなるだろう」という安心感があります。

——最後に一言おねがいします。

CoSTEPで科学技術コミュニケーションを教える立場になった今、自身の学会報告を評価されたことはとてもうれしいことです。KP法を含めて、プレゼンの方法はたくさんあります。プレゼンの方法論にとどまらず、科学技術コミュニケーションを通じて、私たちは何を誰にどのように伝えることができるのか、あるいは伝えていくべきなのか、そのようなことをCoSTEPの演習や実習を通じて受講生やスタッフのみなさんと考えていければと思っています。