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映像メディア実習が、福島第一原発事故で避難区域が設定された川内村と葛尾村を取材

2016.7.31

CoSTEPリスクコミュニケーション教育カリキュラムの予備調査を兼ねて、本科・映像メディア実習で、2016年7月21〜23日にかけて福島県の川内村、葛尾村において現地取材を行いました。

以下、最後のもの以外写真は全て、映像メディア実習・山本淳博さん(環境科学院修士1年)が撮影しました。

他参加メンバーは、NPO法人元気になろう福島の本田紀生さん、農研機構東北農業研究センターの信濃卓郎・福島研究拠点農業放射線研究センター長、鳥羽妙・尚絅学院大学准教授、CoSTEP修了生の岡田英雄さん、CoSTEP映像メディア実習担当教員の早岡英介です。

※この活動は科研費「リスクコミュニケーター養成手法の開発(16K01000)」(2016-2019 代表: 早岡)の支援を受けています。

左から岡田さん、山本さん、鳥羽さん

まずは、福島市の農研機構・東北農業研究センター福島研究拠点・農業放射線研究センターの信濃卓郎センター長に、現在の営農再開や除染をめぐる問題について取材しました。研究者と福島の農業者とのコミュニケーションの状況についても貴重な話をお伺いできました。

その後、福島県川内村に移動しました。福島第一原発から15〜30kmの位置にあり、原発事故を受け一時はほぼ全ての住民が避難していましたが、他の地域に比べて比較的放射性物質の飛散が少なかったことから、川内村ではいち早く帰還へ向けた取り組みが進んでいます。現在は住宅や田畑、道路の除染がおおむね終了し、里山除染が始まっていました。

川内村では宿泊した旅館・小松屋を経営する井出茂さん(川内村商工会長)に事故直後の川内村の様子やその後の復興へ向けた取り組みについてお話を伺いました。またアグリティ組合の渡邊喜一朗組合長から、米を中心とした川内村の農業の現状について、新しく完成したライスセンターや農業機械を見せていただきながらお話を伺いました。

井出 茂さん

渡邊 喜一朗さん

また2016年6月12日に村の大部分で避難指示が解除された葛尾村にも足を伸ばし、農業者の方、放射性物質検査室の方、村役場の方に聞き取り調査を行いました。多くの方が村の現状やご自身の今後のことについて丁寧にお話くださり、本格的な復興はまだまだこれからであることがよく理解できました。

葛尾村役場前の放射線量測定器

除染のための土砂を採取

翌日は川内村婦人会や特別養護老人ホームかわうちのスタッフの方と、川内村にある天山文庫という趣のある茅葺屋根の木造建築の中で、囲炉裏を前に懇談しました。手作りの漬け物などを頂き、アットホームな雰囲気の中、素敵な時間を過ごさせていただきました。

天山文庫には、川内村の豊かな自然と親切な人々に心を打たれた詩人・草野心平が寄贈した蔵書があり、これまで村民との交流の場となってきました(一般300円で入館できます)。

天山文庫で行われた懇談会の様子

田村市の蓮笑庵にて(左から山本さん、本田さん、岡田さん)
【福島取材を終えて】山本淳博(環境科学院修士1年)

現地で取材をして肌で感じたのは、被災者が地元復興に対する思いを持ちつつもそれぞれが異なる考えを持っているという事でした。しかし、元の生活に戻れるように、出来ることから地道に進んでいこう、という気持ちも感じることができました。

東日本大震災による原発被害のことは知識としては知っていても、実際に現地で取材をすることで、これまで見えてこなかった一面を見ることができました。

メディアでは未だに復興していないと取り上げられることもありますが、今回訪れた川内村は観光にも力を入れていて、とても活気を感じることができました。

今後も福島を訪れる機会があれば、積極的に関わっていこうと思います。


こちらから御覧ください。