科学と社会の健全な「緊張関係」の構築役たらんことを
八代 嘉美
京都大学iPS細胞研究所 特定准教授
2015.3.18
このたびはCoSTEP設立10周年、大変おめでとうございます。一昨年、CoSTEP修了式のシンポジウムにて幹細胞研究や再生医療についてお話をさせていただく機会をいただきました。こうした研究領域は日進月歩で、ヒトiPS細胞を用いる臨床研究が今夏にもスタートするという一方で、新しい多能性細胞の研究では不適切な行為が大きく報じられるなど、良きにつけ悪しきにつけ社会から大きな注目を集めています。こうした状況下においては、反科学・親科学というようなイデオロギー的視点ではなく、綿密な取材やインタビューに加え、科学的ファクトを正確に理解した上で問題点を抽出し報道する、真の意味での科学ジャーナリズムが求められています。
CoSTEPのようなカリキュラムの中から、骨太の科学ジャーナリストが巣立ち、科学と社会との間で健全な「緊張関係」を構築してくれることを祈ってやみません。今後のCoSTEPの発展をお祈りしております。