試練の先に楽しさがある
元村 有希子
毎日新聞デジタル報道センター編集委員
2015.3.18
10周年、おめでとうございます。確か開講式にお邪魔して、皆さんの前でお話をさせていただいたような気がするのですが、10年近くも昔のこと、記憶が薄れがちです。
当時は「社会のための科学技術」がキャッチフレーズでした。「科学技術リテラシーの向上」なんてキーワードもよく聞くようになり、科学記者としてはようやく世間の皆さんに科学の楽しさ、技術の有用性を認識してもらうチャンスが来たと張り切っていました。
2011年の東日本大震災と東京電力福島第一原発事故は、その楽しさも有用性も吹き飛ばす試練でした。世論調査で、科学者・技術者への不信は倍増しました。
それでも、目の前に大きな宿題があることは、やりがいのあることです。メディアもこの10年で多様化しました。事実を丁寧に、適切な手段と手法で、届けたい相手に届ける。その作業の先に「楽しさ」「有用性」があるものと信じます。
これからも、時代の文脈、北海道という地域に根ざした発信活動に期待しています。