世の中に、科学を、もっと。
常見 陽平
評論家
2015.3.18
科学の信頼を揺るがすような事件が起こり、論争もよく起こる2014 年ですが、この現象により明らかになっているのは、逆に、科学というものが社会から、強く求められている、期待されているということではないでしょうか。科学とは、世の中の不思議に対して知識と情熱によって立ち向かい、明らかにすることだと解釈しています。世の中には、人間にとって分からないことがある。その不思議を取り除くために挑戦する行為です。真理に向かい、私たちは問いを立て、挑み、先人の研究を超えていくのです。
福島第一原発事故に関連した低線量被曝問題などをめぐる論争などは、自然科学でも社会科学でも「説明しきれない」ことが起きているのだと私は解釈しております。『美味しんぼ』の鼻血問題論争においても、人間はまだまだ科学のことをわかっていない、そして「説明しきれない」ことが残っていることを可視化していないでしょうか。
STAP細胞をめぐる諸問題も、結果論ではありますが、科学の否定ではなく、むしろ私たちは科学により真摯に、丁寧に向き合わなくてはならないことを問題提起したと言えます。
科学は、終わっていません。続いています。続きます。私たちは、科学を諦めてはいけないし、失望してはいけない。CoSTEP に対する期待はますます高まっていると感じています。世の中に、科学を、もっと。応援しております。
10周年、おめでとうございます。