4. 交わる43. 連携の申し出を受け止める
2005年の12月、JTBからCoSTEPに連携の提案があった。JTBが、夏休みの小学生たちを全国から北海道に呼び込み、彼ら/彼女らに北大で科学に親しんでもらう、そのコンテンツ制作などをCoSTEPが担当する、という提案であった。第1期の受講生の有志がこの提案を積極的に受け止めてくれ、2006年の夏に、北大の何人かの研究者の協力を得て「楽しく分かりやすい科学教室」を開催した。
残念ながら第2期の修了生にはつながらなかったが、私としては、産学連携を教育の領域で実現するには研究面での連携と違った難しさがあることを痛感させられ、いい勉強になった。お世話になった鈴木耕裕氏(創成科学研究機構リエゾン部)の仕事ぶりにも、学ぶところが多かった。
2006年の秋には札幌手稲高校から提案が持ち込まれた。大学でどんな研究が行なわれているか、さまざまな理系分野の若手研究者が学校にやって来て話してほしい、高校生向けキャリア教育の一貫として位置づけている、というものであった。
100分の授業時間を自由に使い、創意を働かせた授業を構成できるという、魅力的な提案であった。「高校生 理系キャリア支援プロジェクト」と銘打って、佐藤さんと私が責任者となり、受講生に担当してもらった。2007年度と2008年度の2回、それぞれの年度の受講生の有志が、自分の得意分野で各自の持ち味を活かした授業を展開した。時期が1月~2月だったため、降り積もる雪の中の往復に、受講生も含めて難儀したことであった。
連携の申し出をただ待っているだけでなく、積極的に呼び込むことも行なった。「プロジェクト実習」の公募が、その一つの試みである。科学技術コミュニケーションに関わる「課題」を学内外の方々に提案してもらい、その課題の解決に、CoSTEPのスタッフと受講生、さらに提案者本人も参加して取り組む、というものである。欧州などで試みられているScience Shopを、科学技術コミュニケーションの領域で試みる、という発想から考え出した。