1. 立ち上げる7. 科学カフェ
CoSTEPの活動をふりかえろうと、ハードディスクの中に散在するファイルをかき集め、2005年当時のメールや文書類を見ていると、面白いことを二つ発見した。
一つは、2004年後半~2005年前半の頃には、「科学カフェ」という言い方があったということ。
あるメーリングリストで、「12月8日の深夜にNHK総合の「あすを読む」という番組で、「科学カフェの試み」というコーナーがあった」という趣旨の報告がなされている。そしてこの発言を承け、現地イギリスで取材してきたという別の人が、日本語では「科学カフェ」あるいは「カフェ・サイエンス」と言うんだ、と述べている。
半年ほど後にCoSTEPのスタッフになる岡橋さんも、このメーリングリストで発言している。
NHK「あすを読む」のなかで科学カフェがとりあげられていましたね。私も、友人に知らせてもらって、番組を途中からみました。今年の科学技術白書でも取りあげられていましたが、注目が集まってきているみたいですね。……私も、この話題について興味を持ち、この1、2年くらい、ウォッチしてきています。
2005年に入ると、いろいろなイベントが次々とメーリングリストで紹介されるようになった。
2月5日(土)午後3時、リン・マーギュリス博士来日トークセッション「マーギュリス博士、大いに語る」、会場:ジュンク堂書店池袋店4階 カフェⅲ
3月11日(金)午後6時、「脳をつくる遺伝と環境」、堀田凱樹氏(国立遺伝研 前所長、東大名誉教授)、会場:カフェ・デ・ザルチスト(東京都庭園美術館内)ⅳ
4月には、サイエンスカフェをテーマにしたシンポジウムが、5人のパネリストを迎えて開催されている。
4月29日(祝)午後1時、「カフェ・シアンティフィーク ―その現状と可能性―」、会場:東京大学先端科学技術研究センター4号館2階会議室
当時の手帳を見ると私もこのシンポジウムに参加したようだが、記憶がない……。
こうしてみると、日本でサイエンスカフェが注目を浴び始めたのは、2004年末から2005年前半にかけてであったことがわかる。そしてその頃は、「サイエンスカフェ」という語がまだ定着していなかったのだ。
ⅲ マーギュリス博士とは、「連続細胞内共生説」を提唱した細胞生物学者である。
ⅳ 武田財団が開催する「カフェ・デ・サイエンス」の第1 回目である。