2015 CoSTEP10周年
CoSTEP私史|杉山滋郎

2. 挑む24.
AAAS

2008年7月に「北海道洞爺湖サミット」が開催された。その1年あまり前から学内に、その時期に合わせて「持続可能性」や「環境」をテーマに国際シンポジウムを開催するなどして、北大の存在感を世界にアピールしようという動きが出てきた。それで思った、難波さんの希望もこの動きと結びつければ実現できるかもしれないと。

難波さんはかねてよりAAAS(American Association for the Advancement of Science)に関心を寄せ、年次大会にあわせて開催されるブース展示にどうして日本の研究機関は出展してアピールしないのだろう、などと言っていた。今なら、「北海道大学で行なわれている持続可能性や環境に関する研究活動を、AAASで世界にアピールしませんか、来年の国際シンポジウムの前宣伝にもなります」と大学に提案すれば、認めてもらえるのではないだろうか。そう考えたのだ。

2007年の8月、本堂氏(理事・副学長、国際連携・環境など を所管)に会って、以上のような提案をした。武村 理雪 氏(「持続可能な開発」国際戦略本部 プロジェクトプランナー)のバックアップもあったのだと思う、やがて正式に大学の行事として認められ、予算もつけてもらった。

2008 年2月の14日から18日まで、マサチューセッツ州ボストンで開催されるAAAS年次大会で、北大としてのブースを出すべく準備が始まった。CoSTEP のほか、触媒化学研究センター、南極大学・低温科学研究所、「持続可能な開発」国際戦略本部が共同して出展することになり、英語が堪能な岡橋さんをはじ め、スタッフが総掛かりで取り組んだ。

難波さんのアイデア、夢を実現できたという点で私も嬉しかったし、この催しに参加する過程で培われた他部局の方々とのつながりも大きな財産となった。

AAASに参加することで、CoSTEPの活動が海外で認められれば、それが巡り巡って国内でもCoSTEPが認められることになるかもしれない、そんな目論見もあった。この目論見ははずれたが、やがて、ちょっと違った形でリターンがあった。