2015 CoSTEP10周年
CoSTEP私史|杉山滋郎

3. 深める41.
STS学会シンポジウム

こうして書き綴ってみて、はじめて気がついた。自分は、「議論を何とかかみ合わせ、議論を深める」ことに関心があるんだなと。そういえば子供のころから、国会中継をTVで見ては、あの大人たちは何と無意味なやりとりをくり返しているんだろうと思っていた。

この、自分でも気づいていなかった問題意識が、2013年の夏頃にまた頭をもたげてきたようだ。科学技術社会論学会から「学会シンポジウム」の開催を引き受けてくれるよう依頼があり、どういうわけか私が担当することになった。テーマは「地球環境問題と科学技術コミュニケーション」とし、パネリスト3名も決めた。

やる以上は、3人の議論がかみあった、有意義なものにしたい。そこで考えたのが、パネリスト3名から事前に「問題提起」部分のパワーポイント・スライドをもらい、それをもとに論点整理を行なって、参加者に予め読んでおいてもらう、という方法である。DPでの情報提供資料に相当するものを、シンポジウム参加者にウエブサイトを通して事前配布するのである。

ワインを片手に議論の行方を見守る参加者たち

3人のスライドを眺めて、論点が明確になるような「やりとり」にまとめ、3人に確認して頂いた。それをウエブページへとデザインしてくれたのは、修了生たちが運営するS社であるⅹⅹⅷ。ワインを飲みながら歓談する雰囲気にしたいという私の希望も、うまく取り入れてくれた。

外から持ち込まれた仕事も、できるだけ受け止める。そして単なる「負荷」と考えるのでなく、新しいことを試みる「好機」に変える、それが私のポリシーだ。このときも、普通のシンポジウムを淡々と運営すればいいではないかという意見もあったが、こだわって良かったと思っている。

http://costep.open-ed.hokudai.ac.jp/sympo/guidebook/