2015 CoSTEP10周年
CoSTEP私史|杉山滋郎

3. 深める40.
リレー講演会

2011年には6月から12月にかけ「どうする、これからのエネルギー政策」と題して、「リレー講演会」なるものを開催した。

ある日の昼食時、吉田 文和 氏(経済学研究科)と生協の食堂でいっしょになった。原発事故をめぐって「大学人として、責任を感ずるべきだよね」などと話しているうち、講演会の開催という案が出てきたと記憶している。

ありきたりの講演会にしたくはなかった。原子力発電をどうしていくのか真摯に考える一助にしたい、というのが基本線。そのためには多様な意見を聞きたい、かといって複数人が一堂に会しての討論会では議論の整理が難しい。そこでリレー形式で行ない、次回の講演者は前回の講演者の議論をふまえて(それに言及しつつ)論ずる、そのために前回の講演について「まとめ」を主催者が作る、先立つ講演者に反論の機会を与える、などの仕組みを考え出した。

小回りをきかせて運営するために、学内の「持続可能な低炭素社会」づくりプロジェクトから藤井 賢彦 氏、元/現CoSTEPスタッフの三上さん/古田さん、それに私とで実行委員会を作った(運営資金は前記プロジェクトが提供してくださった)。

12月までに計8名の講師を招いて話をうかがった。もちろんネット中継を行なったし、講演の「まとめ」や質疑応答の内容もウエブサイトに公開していった。とはいえ、次回以降の講師との折衝、会場準備など、ロジスティックに関することで手一杯で、なかなか議論をかみ合わせるための準備ができなかった。さらなる工夫が必要なのだろう。なおこの講演会開催にあたっては、修了生や受講生たちが会場で大いに手伝ってくれたことを記しておきたい。