「人間の種はひとつ」
松崎 霜樹
株式会社おびひろ市民ラジオ スーパーバイザー・プロデューサー、株式会社あいコミ スーパーバイザー・プロデューサー
2015.3.18
科学コミュニケーション? なんですかそれ? 科学? コミュニケーターって? 当初、マスコミ(世間)ではそんなあつかいだったような気がする。
90年代「コミュニティ」という言葉がやたらとハバをきかせ、21世紀になると「コミュニケーション」がそれに加わった、という印象だ。最近では古くて新しい「絆(きずな)」がわが国のアイデンティティを掘り起こした。わたしたちはその時々に必要で大切な言葉を確認し、行動の指標にする。
一番印象に残っているのは、制作でお手伝いしていたラジオ番組「かがく探検隊コーステップ」の中での小学生たちのインタビューのこと。T先生の研究室で、カエルには大変多くの種があるというレクチャーに対し「人間の種はいくつあるのですか?」の質問。先生は一瞬考え、おおきく息をすって、やがてうれしそうに「人間は、種はひとつなんだよ」と述べた。納得してうなずくこどもたち。これぞ科学コミュニケーションのあるべき姿。いま思い出してもほほえましい。
杉山先生をはじめスタッフのみなさま、次の時代へつなぐ10年間本当にごくろうさまでした。「科学コミュニケーター」の存在が、さらに世に定着する日を願って……。