捨てたくても捨てられないモノはありますか?
福島第一原子力発電所の事故では、津波によって原子炉の冷却機能が失われ、炉心が損傷して放射性物質が施設内や環境へ放出されました。福島県内を中心に実施されてきた、汚染された土地や建物などの除染事業は、一部を除いて完了していますが、除染に伴って発生した廃棄物については行き先がまだ決まっていません。
現在、福島第一原子力発電所では廃炉が進められていますが、その過程では、燃料デブリのように放射能レベルの非常に高いモノから、表面に放射性物質が付着した比較的放射能レベルの低いモノまで、様々な放射生廃棄物が発生します。このうち、放射能レベルの低い廃棄物は、リスクは小さいものの、量が非常に多くなることが見込まれ、再利用を含めた、適切な減量化が重要な課題です。福島第一原子力発電所の廃炉で発生する廃棄物を適切に、かつ迅速に処理・処分することが、地域の復興にもつながります。
しかし、廃棄物を「どこに」「どのように」処分するのかを決めるのは簡単ではありません。できるだけ早く廃炉を終わらせて復興を進めたい、なんだか危険そうだから処分場が近くにできるのは嫌、施設の必要性は理解するが自分とは関係ないといった、様々な立場や意見があります。お互いの負担の公正性、決定の手順の公正性に配慮し、多様な意見に耳を傾けながらコンセンサスを取っていく必要があります。
このサイエンスカフェでは、ゲストに福島第一原子力発電所事故の廃炉問題に取り組んでいる渡辺直子さんを招き、今、渡辺さん自身が悩んでいるテーマについて高校生とともに考えます。廃炉のゴミ処分は、科学的な知見だけでなく、多くの背景に配慮しなければならない難しい問題です。大学の研究では、このような正解のない課題に直面することがあります。
誰も何も埋めてくれない意見の溝を、僕らで埋めていきませんか?
【タイトル】捨てなきゃいけない捨てられないモノ~高校生が話し合う廃炉のゴミ問題~
【日 時】8月3日(日)14:30~16:00(開場14:00)
【場 所】北海道大学オープンイノベーションハブエンレイソウ
北海道札幌市北区北11条西8丁目 1F
【ゲ ス ト】渡辺直子さん(北海道大学大学院 工学院 教授)
【聞 き 手】奥本素子(北海道大学CoSTEP 准教授)
【主 催】北海道大学 CoSTEP
【共 催】未来社会に向けた先進的原子力教育コンソーシアム (ANEC)
【申し込み】北海道大学オープンキャンパスのウェブページから申込ください。
https://www.ocans.jp/hokudai/schedule?fid=0VqQoyKE
*本イベントは、北海道大学オープンキャンパスの取り組みとして行い、高校生が対象となります。
ゲスト:渡辺 直子(北海道大学大学院 工学院 教授)さん
神奈川出身。学部卒業後、一般廃棄物・産業廃棄物の処理・処分に関するコンサルタント会社に就職。その後、アメリカに留学し、University of California, Davis, Dept. of Civil & Environmental EngineeringにてPhDを取得。カリフォルニア州の酪農業での抗生物質による地下水・土壌汚染に関するポスドクを経て、帰国。福島第一原子力発電所事故による土壌汚染に関する興味から北大に着任。