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129サイエンスカフェ札幌「面白くて眠れないくまの繁殖と冬眠の生理学〜」を開催しました

2023.12.10

2023年6月25日(日)13:30〜15:00、第129回サイエンス・カフェ札幌「面白くて眠れないくまの話〜繁殖と冬眠の生理学〜」を北海道大学総合博物館 1F「知の交流」にて開催しました。今回のサイエンス・カフェ札幌は会場満杯の64名の方が参加しました。また、北海道大学総合博物館内の「ミュージアムカフェぽす」からサイエンス・カフェ札幌×ミュージアムカフェぽらすの当日限定スペシャルドリンクが提供されました。

話し手:
坪田 敏男(つぼた としお)さん/北海道大学 大学院 獣医学研究院 教授、北海道大学 総合博物館 館長/写真右
聞き手:
古澤正三(ふるさわ しょうぞう)/北海道大学 CoSTEP 特任講師/写真左
(会場に入りきれないくらいたくさんの方が参加されました)
(サイエンス・カフェ札幌×ミュージアムカフェぽらす スペシャルドリンク)
クマの研究

クマとともに歩んだ研究の道のりについて坪田さんに語っていただきました。
北海道大学の学生時代には北大ヒグマ研究グループに所属し、フィールドに出ていたそうです。獣医学研究科に進んでからもヒグマの研究に携わり、1988年3月に博士の学位を所得しました。その後、岐阜大学農学部獣医学科に赴任し、クマの研究が好きで続けたいと考えていた坪田さんは、岐阜大学ツキノワグマ研究グループを立ち上げ、学生と一緒にフィールドに行って調査をしていたそうです。岐阜大学に赴任した1988年から、途中アメリカでの2年間の研究を含め、母校である北海道大学から招聘を受けて戻る2007年までの19年間、繁殖学が専門の坪田さんは、ツキノワグマの生態と生理、クマの繁殖について研究を続けました。

(岐阜大学でツキノワグマ研究:1988~2007年)

2007年に母校である北海道大学に戻った坪田さんはヒグマの研究を再開しました。
知床半島の標津町からの依頼を受けて、ヒグマのマネジメントと保護に関するプロジェクトを開始しました。これは、リアルタイムでヒグマの位置情報を把握し、釣り客とヒグマとの遭遇のリスクを減らすための取り組みだったそうです。ヒグマの研究を再開してから16年を越える坪田さんは、クマの研究を続けることに情熱を燃やし続けています。

(北海道大学でヒグマ研究再開:2007年~現在)

北海道に生息するヒグマは、北海道のシンボル動物ともいえる存在です。ヒグマに対して「怖い」「かわいい」という両極端の印象があるのではないでしょうか。人に危害を加えることができるぐらいの能力を持つヒグマは北海道に約1万頭生息していると推定されますが、人間との間で起こる事故は年間わずか一件程度です。ヒグマは本来臆病で慎重な動物であり、通常は人間を避ける傾向があります。しかし、時には人間との遭遇が不幸な事故を引き起こすこともあります。

(エゾヒグマ)〈写真提供:葛西真輔氏(知床財団)〉

知床半島には、一番痩せてる時期でも体長が2メートル以上、体重が300キロ前後のヒグマが生息しています。これまで知床半島で5月に捕獲したヒグマの中には、体重が400キロ以上に達する個体もおり、冬眠前にはさらに体重が増加すると予想されるそうです。また、大きいクマが子孫をたくさん残していることがわかっており、クマの社会では特にオス同士での競争が非常に厳しく、競争に負けた若いオスがクマの生息域からはじき出されることがあり、このような状況が札幌市の東区で目撃された若いオスグマが出没した原因であると推測されています。

クラウドファンディング

坪田さんはクマを守るためにクラウドファンディング「世界のクマ研究最前線|クマが生きられる環境を未来に残したい」に挑戦し成功させました。クラウドファンディングで得た資金をクマの調査と保全に役立てていくそうです。

(目標額達成!8,943,000円 667名)

今後、坪田さんの研究室に在籍するネパールからの留学生3人と一緒に、ネパールに生息しているナマケグマの生態調査に役立てたいそうです。
そして、坪田さんが20年来持ち続けてきた夢でもあり、クラウドファンディングで実現できることとして挙げていたホッキョクグマの調査に行ったときの話を聞かせてくれました。実際に調査に行ったときの映像を見ながら、ヘリコプターでホッキョクグマを探す様子や麻酔をかけたホッキョクグマに対する作業の様子などを説明してくれました。

(ホッキョクグマ調査の映像について説明する坪田さん)

坪田さんがホッキョクグマの調査から戻ったあとに「ハドソン湾でホッキョクグマがアザラシを探している最中だが、温暖化の影響で氷が溶け始めたため、氷から離れて地上に移動したホッキョクグマもいる。夏の期間はアザラシを獲ることができないため、この期間が短ければ短いほどよいが、温暖化によってどんどん延びている。氷の融解は6月に始まり、7月から9月初旬まで続くと予想されている。9月中旬になると再び氷が張り出すため、ホッキョクグマが一斉に集まってくる」という情報が届いたそうです。
坪田さんは共同研究のために2024年9月に再びカナダを訪れ、現在ヒグマの体温と心拍数を測定している小型デバイスを使用して、ホッキョクグマの冬と夏の間の代謝の変化を調べ、生理学的な研究をする計画があるそうです。

冬眠

坪田さんは、岐阜大学在籍中にアメリカのイリノイ大学に2年間留学し「クマの冬眠と繁殖」について研究をしていました。そこでは大学で飼育していたアメリカクロクマを用いた実験や冬眠している野生のアメリカクロクマから血液を採取して調査・研究をしていたそうです。最近は秋田県にある「くまくま園」で実験をさせてもらいながら、クマの冬眠について調査・研究を行っています。

(アメリカクロクマ:アメリカ合衆国ミネソタ州)

クマの冬眠はとても特徴的なもので、シマリスやハムスターなど、他の哺乳類の冬眠とは異なる生理機構を持っています。クマはシマリスなどの小型哺乳類と異なり、一度眠りにつくと、数カ月間、長ければ半年間、飲まず食わず、排泄もしない状態で眠り続けます。冬眠中に尿が溜まるにもかかわらず、それを体外に排出する必要がないメカニズムを持っています。また、ハムスターなどの小型哺乳類は、外気温に近い温度まで体温を下げるのに対して、クマの体温は通常の活動時よりもわずかに低下するだけで大幅に低下しませんが確実に冬眠に入ることができます。そして、クマは長期間にわたる冬眠にもかかわらず、筋肉や骨が衰えて立てなくなるようなことはありません。そのため、冬眠から覚めた後も迅速に通常の活動を再開できる能力を持っています。このようなクマの冬眠のメカニズムについては医学の分野でも注目され研究されており、冬眠に入ったクマの血液中の代謝産物である尿素とクレアチニンの比を指標にしてクマの冬眠状態を判別できることが、学術雑誌「サイエンス」に掲載されています。

メスのクマは3年から4年に1回の割合で、冬眠中の1月の終わりから2月初めにかけて出産します。出産した後、子どもだけ起きて母乳を飲み、母親は冬眠状態を続けながら子育てをします。
クマの交尾期は6~8 月で、出産は冬眠中の1~2月です。見かけ上の妊娠期間は7~8カ月ですが、実際の妊娠期間2カ月くらいしかありません。クマは交尾した後、受精卵が着床を起こさず成長しないで一定期間子宮内でぷかぷか浮いているような状態で生存を続けます。このように着床を遅らせて、冬眠に入る11月下旬くらいに着床を起こして胎児の成長が始まります。クマはこのような着床遅延という生理機構を持っています。このような妊娠期間を調節し、最適な時期に出産するメカニズムはクマだけでなく、アザラシやカンガルーなど、他の動物にも見られます。

(クマの冬眠の特徴)

坪田さんにホッキョクグマについてもお聞きしました。
ホッキョクグマの生活パターンは他のクマと異なるため冬眠をしません。ヒグマやツキノワグマは、冬に食料が不足するために冬眠しますが、北極では冬から春にかけてはホッキョクグマにとって最も食料が豊富で、一年間の体脂肪を蓄えるためにアザラシのハンティングをします。
逆に7~8月の夏の間は食料が不足するため、氷から離れ陸地で、花や草、鳥や鳥の卵など限られた食料を食べながらなんとかやり過ごします。この時、代謝を下げて体は冬眠状態になりますが、他のクマのように穴の中には入らず、歩いた状態で過ごします。これを「ウォーキングハイバネーション:歩く冬眠」と呼ぶそうです。

市街地~出没するヒグマ

ここ数年、毎年のようにクマが市街地に出没しています。札幌市、旭川市、帯広市、紋別市、室蘭市、阿寒町など、クマが人の住むエリアに出没することが近年の特徴となっています。クマが市街地に出没するパターンとしては主に3つあります。
一番多いパターンはエサ問題です。山の中でエサが不足し、探しているうちに市街地に出てきてしまうことがあり、本州のツキノワグマに多いそうです。クマの大量出没というニュースの見出しを見かけますが、これはエサ不足によるもので、10~11月に例年よりも多い数のツキノワグマが市街地に出没し、年によっては5000~6000頭が射殺されます。本州では、ツキノワグマが市街地に出没することにより人身被害が起こり、150人くらいの人がケガをするということが起こります。エサが不足する原因は、植物のサイクルが関わっています。クマが10~11月の冬眠前に好んで食べるどんぐりなどが、年によって不作になることがあり、これがクマの出没に影響を与えます。しかし、北海道では本州のようなパターンが明確ではなく、その理由として、北海道の自然環境は豊かで、エサ資源が豊富でコクワや山ぶどう、クルミなど、どんぐりの代替となる食べ物を見つけやすいため、市街地に出てくるパターンにはなりにくいことが考えられます。
2つ目のパターンはクマの習性・本能である分散行動に関わる問題です。クマは2~4歳の間に母親から離れ、特にオスのクマが母親との近親交配を避けるために新たな生活圏を求めます。この時期のクマは、母親から最低限の生き方は教わっていますが、人間やその他の危険に対する対応をきちんと学習できていないため、ふらふらと市街地に出没することがあります。市街地に出てきて撃たれたクマの年齢を確認すると2~4歳の若いオスのクマであることが多いそうです。
3つ目のパターンはオスのクマ同士の繁殖を巡る競争や闘争の問題です。昨年、札幌市東区に出てきたクマはこのパターンが関わっており、争いに負けたオスのクマだったのではないかと考えられています。

(最近のヒグマによる市街地出没と人身事故)

クマは分類学上、イヌやネコと同じように食肉類です。本来は肉を食べて効率よく消化吸収できる動物です。進化過程で理由はわかっていませんが、肉食から草食に傾いた雑食になることで世界中に分布を広げることができるようになったと考えられています。クマは雑食なので肉も食べますが、主にアリやハチなどの昆虫を食べています。
シカ肉を食べないのは、シカを襲って捕食するための俊敏性などの身体能力がないことが挙げられます。生まれたてのシカを捕食することはありますが、大人のシカと比べると肉の量が少なく、よいエサとはいえないかもしれません。また、シカは雪が苦手な動物で、大量の雪が降った年の冬には大量に死ぬことがあり、クマが春先に死んだシカを漁って食べることもありますが、生きているシカを捕食することは難しいようです。クマは、肉を非常に効率よく消化吸収できるので、植物を食べるよりも肉を食べる方がよいはずですが、クマの肉食はほとんど失われているといってよく、積極的に人間を襲う動物ではないそうです。

一方で、研究者の常識が通じないクマも出てきています。クマは、本来臆病で慎重で人間を避ける動物ですが、稀に積極的に人間に近づくクマもいます。クマとの人身事故事例には、若いヒグマが人間に好奇心を持って近づいてきている、という報告もあります。このようなクマに対して、人間を怖いものだと学習させることができなければ、早急に駆除するしかありません。
クマが市街地に出てくる3つのパターンの他に、人間の存在を気にしなくなったクマのパターンがあり、それを「新世代クマ」と呼んでいます。新生代クマは少しずつ増えてきていますが、この要因としてハンターの高齢化の影響で、以前のように山の中でクマを追いかけることが減ったことで人間が怖い存在であると学習できなかったり、人間とクマの境界域での人間の活動が減ったことにより人間を認識しなくなっている傾向があることなどが挙げられます。
また、観光客がクマにエサを与える行為によって、クマが人間=エサと学習し、人間に近づくようになる危険性もあります。このような人間に慣れたクマがとる行動が次世代に伝わる可能性もあるため、人間側の行動を改める必要もありそうです。

ヒグマ・ノート

坪田さんが会長を務めるヒグマの会から、ヒグマの普及啓発の冊子「ヒグマ・ノート」が出ています。この冊子には、クマの生態のほか、クマに出会わないためにはどうしたらよいか、万が一クマに出会ったらどうしたらよいかなどの安全対策がわかりやすくまとめられています。是非活用してください。

抱負~総合博物館館長

北海道大学総合博物館の館長に就任された坪田さんから、博物館の将来像について語っていただきました。坪田さんは、全国の博物館から情報を収集し、北海道大学総合博物館の現状と課題について少しずつ見えてきているそうです。
北海道大学総合博物館は、年間20万人の来館者数があり、市民に開かれた大学と市民をつなぐ窓口としての役割を果たしていますが、この傾向を維持しつつ、さらに発展させていくことを目指しています。そして、現在、ほ乳類の専任の先生がいないため、ほ乳類が専門である坪田さんがクマ問題を展示に組み込んだり、市民との対話を深めるイベントを開催するなど、今後、博物館での取り組みを進めていきたいそうです。坪田さんは館長という役割を通じて、自分自身の世界が広がり、新しい分野に関わることの楽しさを感じていると語ってくれました。

(北海道大学総合博物館 館長を兼務する坪田さん)
休憩

坪田さんのお話の後、約10分間の休憩を取りました。参加者は坪田さんに聞いてみたいことや感想を付箋に書いていきます。また、坪田さんが貸してくれたヒグマのトランクキットを展示しているコーナーにも参加者が集まり、ヒグマの毛皮などに触れていました。

(ヒグマトランクキットを観察する参加者)
質疑応答

会場からは「南極にシロクマはいますか?」「クマの市街地出没が増えている中で人を恐れないクマとコロナ禍の人間の行動は関係がありますか?」「人間に興味をもって近づいてくるようなクマにもクマスプレー、クマスズは有効ですか?」「OSO18についてどんなことでも詳しく教えてください。」「最近、話題のOSO18は捕獲or駆除できると思いますか?」「道東のヒグマOSOが定期的に乳牛をおそう理由は何ですか?」「山で足あとを良く見かけます。次行く時、同じルートはさけた方がよいか、クマの行動範囲はある程度きまっているのか知りたいてす。」「ホッキョクグマのウォーキングハイバーネーションについて、夏の間は(冬と比べて)代謝を下げているとわかっているのに、体温と心拍数については調査されていないんですか?」「クマの血液は何型ですか?」「 先生がクマを好きになり研究しようと思った動機を教えてください。」という多岐に渡る質問や感想が寄せられました。坪田さんは時間が許す限り会場からの質問に答えてくれました。当日答えきれなかった質問・感想については、カフェ後に坪田さんからコメントをいただきました。また、OSO18についてはNHKスペシャル「OSO18 “怪物ヒグマ”最期の謎」が参考になるそうです。

(会場からの質問に答える坪田さん)
当日答えられなかった質問・感想について、坪田さんにコメントをいただきました。

Q.冬眠中の出産をもっと詳しく知りたいです。

「冬眠する哺乳類」(東大出版会)を参照してください。

Q.白クマの「歩きながら寝る」ということがよくわかりません。詳しく知りたいです。

「ホッキョクグマ−生態と行動の完全ガイド」(東大出版会)を参照してください。

Q.OSO18が捕獲or駆除できたとして何か研究に活かせることはありますか?(方法や手順など)

研究材料が入手できれば研究に活かすことができたと思います。

Q.今までの研究では、人間を軸として研究対象としてのヒグマ像という形で記述がなされていました。一方で、ヒグマを軸(ex生態環境の変化など)とした、ヒグマetcを中心アクターとして分析を行った研究はあるのでしょうか?

環境の中でのヒグマの果たす役割などの研究ということでしょうか。たくさん論文になっています。

Q. ヒグマを「正しく恐れる」とはどのようなことだとお考えですか?

むやみやたらにヒグマを怖がるのではなく、山に入る時には正しい知識を持ってヒグマ対策を施すということでしょう。

Q.今年は道内でのヒグマ出没が例年より多く報道されていますが、何か理由があるのでしょうか?

人里への出没件数が多いです。背景には、カラフトマスの遡上数、ハイマツやミズナラの種子(どんぐり)のなりが悪いことでヒグマの餌が少ないことがあります。

Q.親子づれの熊に出合った時どうするのがいいでしょう?(今日のお話しで、母と子ということはわかりました)

とにかくその場から離れて安全な距離を保つことです。

Q.どうしてくまのぬいぐるみが多いのでしょうか?

人に愛される仕草やキャラがあるからではないでしょうか。風貌もそうかも。

Q.春グマ駆除の一部解禁でハンターに追われた経験を植えつけるのは効果的でしょうが、殺してしまったら(ハンターの経験とはなりますが)意味があるのでしょうか?人里出没は数の問題だけではないと聞きます。

ある程度数を落とすことも必要ですので、捕殺と追いかけ回すことの両方の効果が期待されます。

Q.実際、ヒグマと出会ったらどうするのが正解ですか?

慌てずヒグマの行動をよくみて、ゆっくりと距離を取るようにするのがいいでしょう。

Q.クマをペットにできますか?

できないと思います。

Q.生息数10000は多い?少ない?

今大体10000頭と言われていますので、少し多めでしょう。

Q.クマの通り道を調査し、市街地へ入らないような柵などを作れますか?

小さな町ならば電柵で囲めますが、大都市は無理です。

Q.楽しかったです。ありがとうございました。クマがこわかったので少しこれからは冷静に考えられると思います。

それはよかったです。

Q.クマは双子を生むことはないのでしょうか?

一卵性ということですね。少ない数ですが、ありうると思います。

Q.昨年、札幌、三角山中腹にて、冬眠終えた出産の母グマが出現しました。人間の生活圏内でのクマの冬眠はよく見られるのでしょうか?

過去にはなかったはあずですが、近年そのような傾向にあります。

Q.山のどの辺で冬眠し、どのように穴を掘っているのでしょうか?その穴は深いのですか?山の中ならどこにでもいるのものでしょうか?

以前は奥山でしか冬眠していなかったのが、近年は人里近くでも冬眠する傾向にあります。ヒグマ1、2頭がやっと入れるくらいのスペースです。

Q.ヒグマの数は減っているんですか?

今は減っていないと思います。

Q.飲食しなくても何カ月も生きていけるものなんですか?それはなぜですか?

冬眠中の話ですね。代謝を下げてエネルギーの損失を防いでいるからです。生理状態もだいぶ変わっています。

Q.ヒグマと比較してツキノワグマ神経質ですか?ヒトと隣接・共存はかなり困難でしょうか?

何とも言えませんが、私の印象としてはヒグマの鷹揚なところがあるように思います。

Q.冬眠中に床ずれもしないのでしょうか?

少しは体勢を変えていますので、床ずれはしないですね。

Q.クマのなわばりはどれくらいの広さ?

ナワバリはなくて行動圏ですが、オスで数百km程度、めすで数十kmほどです。

Q.ヒグマの巣穴の入口の大きさはどの位?

入口は小さくてようやく体が入れる程度です。

Q.ヒグマが生息する地域における環境調査等の留意点について教えてください。

まずは安全対策(クマスプレーの携行など)をしっかりすることです。

Q.昨年、本州の大学が実施した調査にボランティアで参加しましたが、ヒグマの危険性について周知されていませんでした。今後、同様の調査が実施されることも予想されますが…

今はどこの(九州と四国以外の)山でもクマはいると認識した方が良いでしょう。クマへの安全対策は必須だと思います。

Q.クマのうんちはアリなどがそのままでてきて、くさくないのはなぜですか?

元々食肉類なのに現代に生きるクマは草食性に強く傾いているからです。

Q.クマがいやがるにおいや食べ物は何ですか?

特に見つかっていません。

Q.海の動物に例えたらクマはなんですか?

難しい質問で答えられません。

Q.やはり褐色脂肪細胞の量は多いのでしょうか?例えばホッキョクグマとヒグマでは量の差があるのでしょうか?

今のところクマでは褐色脂肪細胞は見つかっていません。

Q.体の組織(血液、歯、脂肪など)から何がわかるのですか?

血液:健康状態、遺伝子、病原体、年齢等、歯:年齢、脂肪:栄養状態などです。

Q.体温は31~35℃ということは代謝がそこそこあると思うのですが?

低代謝ですが、体温は比較的高いので、それなりにエネルギー代謝は行われています。

Q.クマは冬眠すると寿命は延びるのか?

そう言われていますが、詳しくはわかりません。

Q.市街地浸入防止でハンター不そくなどで対策として電気防護柵以外の有効な対策はありますか?

薮払いや草刈りは侵入ルートを遮断する上で有効です。

Q.子グマの時に人里にきた「クマ」は親グマでまた来ることはありますか?

親から教わることは重要で、大人になっても覚えていると思います。

(サイエンス・カフェ終了後の集合写真)

ご参加いただいたみなさん、坪田さん、ありがとうございました!