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選科A活動報告「ラブラブカップル水をさすな!?」

2025.9.24

グループ名:chAns
メンバー:がんちゃん,すーちゃん,たなかちゃん,ふくちゃん,まっちゃん,みぃちゃん

【メンバーの役割】

・企画・準備 :全員

・ 本番
がんちゃん&まっちゃん(演者)
すーちゃん&ふくちゃん(解説)
ふくちゃん&みぃちゃん(PC操作)
たなかちゃん(タイムキーパー)

・その他
がんちゃん(アンケート作成・集計)
ふくちゃん(活動報告作成)
たなかちゃん(ポスター作成)

今回の選科A集中演習では、「時」をテーマとした20分間のオンライン・サイエンスイベントの企画を3日間かけて企画・準備しました。
私たちの班は「水循環」をキーワードに、水資源が枯渇した未来の地球と現在の地球を行き来する劇形式のイベントを実施しました。劇中では、現在の水循環や気候変動について紹介しつつ、視聴者から意見を収集し、その内容に応じて劇の展開が変化する構成としました。身近な水循環や気候変動について考えるきっかけとなるよう、また、私たちからの一方的な発信に陥らないよう配慮しながら、さまざまな工夫を凝らしました。

企画内容

テーマの選定理由・目的

本演習の大きなテーマである「時」から発想を広げ、私たちのチームでは「時」を「過去・現在・未来のつながり」として捉え、その中で循環的な現象や、人と自然を結ぶ出来事に注目しました。その中で特に重視したのが「循環」や「つなぐ」です。これらは自然の営みや社会の持続可能性と深く結びついており、特に「水循環」は、地球上の水が大気・陸・海をめぐりながら生命活動を支えるという、環境と人間社会の持続性を保証する重要なプロセスです。
そこで、現在と水資源が枯渇した未来を行き来する劇形式を取り入れることで、「時」の流れの中で移り変わる環境と私たちの暮らしのつながりを、体感的に伝えたいと考えました。こうした体験を通じて、私たちの暮らしが自然環境とどう結びついているのか、そして現在の選択が未来の姿を左右するということを、視聴者と共に考えることを目的としました。

想定した対象者

環境問題に断片的な知識を持っている層や、環境に一定の関心があるが科学的知識が乏しい層を対象としました。

イベントの流れ

舞台は2100年、気候変動が進んだ未来。100歳になった老夫婦が喧嘩している場面から始まります。

冒頭では、未来を舞台にした劇を行い、その後、視聴者に水の使い方に気を付けているかを問うアンケートを実施しました。アンケートはリアルタイムアンケートツール「Mentimeter」を用いました。

(アンケートの結果を確認、劇の内容が変化)

続いて、現代の水循環について解説し、さらに劇を通じて理解を深めました。

(水循環の速度が気候変動によって変化することを解説)

後半では気候変動に関する解説とアンケートを行い、視聴者の意見を反映させながら劇を展開しました。

(気候変動が身近な生活にも影響することや、私たちの選択により気候変動の程度が変わることを解説)

温暖化対策をしないシナリオを「①開発シナリオ」、温暖化対策を進めるシナリオを「②保全シナリオ」と呼び、どちらを選択するかアンケートを行いました。

今回は②保全シナリオが選ばれ、この選択が招く未来を劇で表現しました。

(気候変動はある程度抑えられましたが、エネルギー利用規制など良いことばかりではなかったようです。)

最後に、選択しなかった①開発シナリオではどのような結末になっていたのか問いかけ、今回の趣旨である「水循環や気候変動」が視聴者の選択によって変化することを強調しました。

視聴者の皆さんの心に新たな視点をもたらす「一滴の水」となっていれば幸いです。

アンケート結果

「水循環」と「気候変動」のそれぞれについて、事前知識を持っていたと答えた回答者の割合(肯定的回答である「よく知っていた」「知っていた」の割合)は、「気候変動」の方が高かった一方、イベントでの説明の分かりやすさについては「水循環」の方がより高い評価(「とても分かりやすい」「分かりやすい」の割合)を得ました。

(アンケート結果「イベント前に「水循環」・「気候変動」についてどの程度知っていましたか?」 %(回答数)/総回答数35人)
(アンケート結果「「水循環」・「気候変動」の説明は分かりやすかったですか?」 %(回答数)/総回答数35人)

劇については、回答者の66%から「面白かった」との回答を頂きました。ただし、「開発シナリオ」か「保全シナリオ」かを選ぶ際には、「劇のみでは定量的・具体的な情報提供が不足する」との指摘があり、改善を促す意見も頂きました。

水循環と気候変動について、イベント後に「関心が高まった」との回答は63%、「問題の深刻さを感じた」との回答は66%と比較的高い評価を得ました。一方、「家族や友人と話し合いたい」との回答は43%にとどまり、視聴者のさらなる関与を促す工夫の余地があると考えられました。

なお、アンケートの選択肢は、「肯定的な回答ほど大きい番号とするほうがわかりやすい」との意見を頂きました。

イベントを実施して学んだこと

イベントを通じて、科学的な知識を伝えるだけでは人の行動は変わらないという難しさを痛感しました。「誰に」伝えるかを明確にし、その人の興味や知識レベルに合わせて内容を調整することの重要性を学びました。

また、劇などのエンターテインメント要素を取り入れることの魅力を感じると同時に、専門的すぎず、かつ浅すぎない絶妙なバランスを見つけることが腕の見せ所だと気づきました。多様なメンバーの個性や専門性を組み合わせ、活かすことで、一人では思いつかないような企画が生まれたことは大きな収穫でした。

ポスター制作では、短い時間で仕上げなければならないこともあり、先生方のお力をだいぶお借りすることになりました。アドバイスを受けた印象として、先生方が私たちの企画のイメージをとても大切に扱っていると感じました。「なんとなくバランスを見て適当に配置すればいい」とは真逆な、とても緻密な作業でした。制作したポスターには以下の工夫を取り入れました。

3日間お疲れ様でした!

最後に、イベントにご参加いただいた皆様、ご指導くださった本平先生、ご協力・ご指導いただいたCoSTEPの皆様に感謝申し上げます。

(本平先生を含むチームchAns 7人での集合写真)

本記事は、2025年7月21日(月/祝)に実施した2025年 選科Aオンラインサイエンスイベント「時」の報告記事の1つです。CoSTEPの選科Aコースでは、全国各地の選科A受講生が札幌に集まり、オンラインサイエンスイベントをいちから作り上げる3日間の集中演習を行っています。24人の受講生が4グループに分かれ、計4つのイベントが行われました。以下のリンクより、ご覧いただけます。他の活動報告も順次公開していきます。ぜひご覧ください。

・選科A活動報告「ラブラブカップルに水をさすな!?」(本記事)
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