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チラシデザイン:生命に介入する科学 II〜 受精の前から始まる次世代コントロール

2014.11.21

カテゴリー:チラシ・ポスター/イベント:サイエンス・カフェ札幌/制作者:佐藤はるか(2014年度本科)/制作年月:2014年10月

チラシのデザインを担当したのは、本科グラフィックデザイン実習を専攻している佐藤はるかさん(北海道大学生命科学院修士1年)。佐藤さんの制作レポートを紹介します。

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第77回サイエンス・カフェのタイトルは「生命に介入する科学Ⅱ~受精の前から始まる次世代コントロール~」。私は絵を描くのが好きなので、今回のチラシは写真ではなくイラストを使おうと決めていました。しかし生命倫理に関わる内容であるため、チラシにはどのようなモチーフを描くべきかとても悩みました。

生命の尊さを前面に押し出すと偏ってしまうし、科学を前面に押し出しては敬遠されてしまう。その中間点を模索しながら、デザイン案を考えていました。その中で、DNAの二重らせんの中に赤ん坊を描いてみたところ、竹取物語のイメージにたどり着きました。竹の中で光るかぐや姫は、今回のテーマを表現するのにぴったりな題材でした。

最初の方は光る赤ん坊をそのまま描いていたのですが、大津先生と話し合いをするなかで、光る竹のイメージに変更しました。この時に、レイアウトも決定しました。

このラフを元に竹林の絵を描いていったのですが、最初にできたものはただのみずみずしい竹林の絵でした。これでは生命に介入する科学というテーマが浮かび上がってこないということで、先生からアドバイスをうけ、より彩度を落とし、無機的な感じを出すことにしました。また、DNAの二重らせんを組み込んだり、何本か切った竹を描くことで、科学による生命への介入を表現しています。さらに最終稿では霧で全体を覆っています。それは、霧に覆われていてその明かりしか見えなかった生命の領域が、科学が発展していくことで霧が少し晴れて、生命の領域の輪郭が見え始めた、ということを表したかったからです。

この絵で私が一番気に入っているのは、竹の切り口の光です。切り口部分の光は、光る竹よりも弱く描いています。これは、一度竹が切られてしまうと、その光は二度と戻らない、というのを表現したかったからです。

ただ絵を描くだけではなくて、そこにいろいろな意味を込めるというのは今まであまり経験したことがありませんでした。今回のチラシ作成を通して、絵を描くときの意識が変わった気がします。また、グラフィックデザイン実習を通して、自分では思いつかなかった霧などの表現を描くことができました。アドバイスがなければこのように様々なメッセージを含んだ絵にはならなかったと思います。貴重な経験ができたことに感謝しています。

(カフェの運営スタッフで記念写真:佐藤はるかさんは右から2人目)