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コミュニケーション見えてくるもの

2015.3.20

私は、建設関連の業界紙に務める記者ですが、職場では若手の記者に指導したり原稿を添削する機会が増えてきました。教える立場になる上で、改めて文章力や取材手法を勉強する機会が必要だと思い、CoSTEPを受講しました。ただ、北海道帯広市在住で平日は北大に通うことができないため、講義をe-learningで受講できる選科Bを選択しました。

e-learningは、ネット環境があればいつでもどこでも学べる利点はあるものの、パソコンの前に座って1時間半を受講するのは想像以上に集中力がいります。出勤前に1日30分ずつ見ることもやってみましたが、自分としては休みの日に時間を作り「今から1時半みっちり授業を受ける!」と気合いを入れて見た方が理解度は高かった気がします。でもやっぱり、北大に通える所に住んでいる人は出席して受ける方がいいと思います。

興味深かった講義の具体的例としては、尊厳死などの生命倫理の最新事情をお話された児玉真美先生(日本ケアラー連盟 代表理事)や、感染症対策のリスクとベネフィットを解説した岩田健太郎先生(神戸大学 教授)の講義があげられます。トランスサイエンスのトの字も知らなかった私でしたが、科学技術コミュニケーションにとって重要な要素のひとつを学ぶ事ができました。

実習は、科学技術コミュニケーションをテーマに題材を探し1600字程度の文章を完成させるものでした。事前にある程度文章を書いておき、実習の3日間で集中して書き直し完成形をつくり上げます。

環境関係や生命科学、情報など相似した題材別に5、6人の班に分かれ、各自の文章を講評しながら推敲します。普段、自分の記事を読者にどう読まれているのか知る機会が少ないため、直に意見を聞けるのは貴重な体験でした。また仲間の文章を見るうちに、「述語の表現が何度も同じで読んでいてちょっと退屈に感じちゃうな」「このセンテンスは頭の方に持ってきた方が結論をすっきり伝えられるな」など文章の構造を俯瞰的に見られるようになってきたのも大きかったです。

CoSTEPではただ個人で学習するのではなく、コミュケーションを通して多様な人々の意見を聞き、自分の活動に反映させる「リフレクション」の考えを大切にしています。私も1年間を通して、コミュケーションが文章を書くことをはじめ、いろんな活動に大きな役割を果たすこと、そして何よりコミュニケーションを取ること自体の楽しさに気づくことができました。

最後になりましたが、指導してくださった先生方、10期生の皆さんには本当にお世話になりました。ありがとうございました。

大坂 力

北海道建設新聞社 記者