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チラシデザイン:大人の学校「みる!しる!さわる!!ザリガニ驚室(きょうしつ)」

2016.12.23

制作者:八木千文(2016年度本科・生命科学院修士課程1年)/制作年月:2016年11月

2016年11月20日(日)に開催された、大人の学校「みる!しる!さわる!!ザリガニ驚室(きょうしつ)」のチラシデザイン報告レポートです。チラシデザインを担当したのは、本科Webデザイン実習を受講している八木千文さんです。
(対話の場の創造実習メンバーとチラシ完成記念撮影/*本人中央)
キーワードからイメージする
「チラシは見る人の興味の扉をノックする。扉を開くか、開かないかは見る人次第。つまり、チラシは見せる人と見る人の相互的なコミュニケーションの場となりうる。」
そう、日頃から感じていたところ、今回のサイエンスイベントのチラシ制作オファーがあり、それを確かめるべく引き受けることにしました。
今回のテーマは「ザリガニ」。ザリガニとサイエンスがどうつながっていくのかを知るため、まずはイベントの狙いとキーワードを把握することから始めました。イベントの主体は対話の場の創造実習。実習メンバーにヒアリングしたところ、狙いとして「ザリガニを入口にして自然について考える機会を増やしたい」、キーワードとして「ザリガニ」「大人の遊び場」「身近な自然」の三つが浮かび上がったので、私はそれらに焦点を当て、チラシのイメージを膨らませることにしました。
デザインワーク中は大人が主役のイベントであること、かつ、ザリガニも自然も伝えられるようなチラシを、と常に意識するようにしました。出かけるたびにザリガニの住んでいそうな環境を探して写真に収めたり、大人が食いつきそうなデザインを街中で探したりしましたが、頭の中だけではチラシの全体像がぼんやりとしか描けませんでした。そこで、思い付いたアイデアをどんどん形にしていくことにしました。様々な角度からザリガニを描いてみたり、自然のイメージとザリガニを組み合わせたりしたことで、チラシ全体のイメージが次第に定まっていくのを感じました。
(チラシのラフ案を描きながら、頭の中のデザインを整理していきます。)
タイトルか、キーワードか

チラシ制作オファーが届いた時点ではイベントの企画書が執筆中であったため、完成するまでの時間はキーワードからデザインのイメージを膨らませていました。最終版の企画書が送られてきた時、それまでに膨らませていたデザインでは不十分かもしれないと感じました。その理由は、イベントのタイトルが大人の学校「みる!しる!さわる!!ザリガニ驚室(きょうしつ)」となっており、「体験(みる・しる・さわる)」と「驚き」も表現したいと思ったからです。

ですが、「ザリガニ」「大人の遊び場」「身近な自然」「体験」「驚き」をすべて落とし込んだデザインのアイデアが全く浮かんできませんでした。参考になるものを探しているうちに、漫画でよく用いられる集中線が目に飛び込んできて、「これだ!!」と閃きました。これを使えばタイトルに合うインパクトのあるチラシになり、通りすがりの人の目を奪えるかもしれないと思いました。
一方で、集中線を用いた「身近な自然」を表現するアイデアが浮かばず、イベントの趣旨の一役を担うキーワードを無視してしまっていいのかと不安になりました。そんな時、チラシ制作を指導してくださった村井貴先生や池田貴子先生が「集中線いいね!インパクトがあって面白いと思うよ」と背中を押してくださり、意思が固まりました。ラフ案はキーワードを重視した「自然」と「ザリガニ」をイメージしたものにしていましたが、急遽タイトルに合う集中線を用いたチラシデザインに変更することに決めました。
(漫画の集中線を活用した構成で、インパクトを追求していきました。)

表面ではタイトルを、裏面ではイベントの狙いを伝えることを目指し、集中線に「驚き」「体験」「ザリガニ」「遊び心」を組み込んだインパクトのある表面と、表面では表現できなかった「自然」と主催者である対話の場の創造実習メンバーからのメッセージを組み込んだ裏面を作成しました。メインビジュアルでイベントタイトルを伝えた時、それを見た人の興味の扉をノックすることができるのではないか、という私なりの挑戦でもありました。

(完成稿のチラシ表面。イラスト部分は手描きにこだわりました。)
(完成稿のチラシ裏面。水草をイラスト化し、「自然」を表現しました。)
チラシの反響やいかに

今回のイベントは事前申込制で、チラシ経由で申し込んでくださった方がどのくらいいただろうかとドキドキしていました。イベントは大盛況だったようで、一安心しました。その後、「印刷会社の方にチラシすごくいいねと褒められた」「チラシを見て参加を決めた」「チラシがイベントの場をデザインできていた」などの嬉しい報告がどんどん入ってきました。なによりも嬉しかったのが、「チラシが欲しいといって持って帰ってくださった方がいた」という報告です。

(イベント当日の「場のデザイン」にも役立ったようで、一安心でした。)
オファーが来た時、Webデザイン実習でのイベントも控えていたので時間的に間に合うだろうかと不安になりましたが、思い切って引き受けてよかったと思いました。それと同時に、チラシを見る人の興味の扉をノックすることができたこと、そして扉を開いて参加を決めた方がいたことを実感でき、チラシコミュニケーションに可能性を感じました。
「チラシは見る人の興味の扉をノックする。扉を開くか、開かないかは見る人次第。つまり、チラシは見せる人と見る人の相互的なコミュニケーションの場となりうる。」
この仮説を証明する貴重な経験をさせてくださった対話の場の創造実習のみなさん、チラシ制作にご指導くださった村井貴先生、池田貴子先生、本当にありがとうございました。