CoSTEPの2月のサイエンスカフェは、「粘菌と知性」がテーマです。
粘菌といえば、何を思い浮かべますか? 年配の方は南方熊楠(みなかたくまぐす)や、那須の御用邸で採集していた昭和天皇を思い浮かべることでしょう。また漫画『風の谷のナウシカ』では、腐海の世界に生きる心を持つ重要な生き物として、粘菌は登場します。
粘菌は、朽ちた木の下や鉢植えなどの湿った場所を好み、意外と身近に存在するアメーバ状の単細胞生物です。この粘菌が迷路を解いたり、鉄道網のような輸送効率に優れたネットワークを作ったりといった「知性」を持つという研究が、最近脚光を浴びています。
シャーレいっぱいに広がる粘菌
いったい知性とは何なのでしょうか? 粘菌のような原始的な生物でも、本能的に秩序だった行動をとることで生き残ろうとします。このような現象は、「自己組織化」と呼ばれ、雪の結晶の成長や、気象衛星からみた雲の模様、化学反応など自然界にも多く存在しています。あたかも「知性」を持つかのように振る舞う粘菌の謎を解くキーワードが「自己組織化」なのです。
今回のカフェでは上田哲男先生と一緒に、実際の粘菌を見て、触ってもらいながら、粘菌の不思議な魅力と、そこに潜む「知性」とは何かを考えます。粘菌と知恵比べして遊ぼう!
第56回サイエンス・カフェ札幌
知性が生まれるとき〜粘菌の不思議に学ぶ〜
日時: 2011年2月26日(土) 16:30〜18:00
場所: 紀伊國屋書店札幌本店1階インナーガーデン
札幌市中央区北5条西5丁目7番地 sapporo55ビル
ゲストプロフィール
上田 哲男(うえだ・てつお)さん
1947 年大阪府生まれ。北海道大学大学院薬学研究科修了。 薬学博士。北海道大学電子科学研究所教授。現在、「自己 組織化」というキーワードで、生命の最小単位である細胞の 中の複雑多様な機能について調べている。その対象の一つ、 裸の原形質である原始生命体・粘菌は、周りの環境に応じ て情報を分析し、あたかも知性を持つかのように適切に判 断する。上田さんは、「自己組織化」をキーワードに知性 の源を解明しようと研究を続けている。