ワークショップツール「プレコン!」

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プレコン!

知識と対話から、自分の未来を考えるワークショップツール

ABOUT/このツールについて

適応教科:保健、家庭科、総合的な探究の時間など

「プレコンセプションケア」をテーマに、アートとサイエンスの視点から身近な問いに結びつけ、自分自身の未来について考えるワークショップツールです。
ワークショップでは、参加者が妊孕性(ようにんせい/妊娠のしやすさ)など、プレコンセプションケアに関する基礎的な知識に触れ、対話を通して、多様な価値観やライフデザインのあり方に出会います。
他者の考えや経験に触れ、自分とは異なる視点から物事を考えることで、自分自身のこれからを見つめ直すきっかけをつくります。正解を導き出すことを目的とするのではなく、問いを共有し、考え続けることそのものを大切にしています。一人ひとりの中に新たな問いが生まれ、未来の選択肢を前向きに捉えることができる場を目指しています。
ツールキット

〈内容〉
・説明書
・年表カード  6枚
・ライフイベントコマ 5個
・ヒントカード 28枚
・研究者からのメッセージカード 10枚
・アーティストからのメッセージカード 5枚

〈基本情報〉
プレイ人数:2〜6人
所要時間 50分(授業一コマ)
対象年齢 15歳以上

プレコンセプションケアについて

公衆衛生の学問(=市民や国民など、集団全体の健康をどのように守り、促進していくかを研究する分野)の中で生まれた考え方です。
妊娠前から健康づくりに取り組もうとする活動を指します。「プレ(pre-)」は「〜の前」、「コンセプション(conception)」は「受胎・妊娠」を意味する英語です。
これまで一般的だった「妊娠してから健康に気をつけて、元気な赤ちゃんを産みましょう」という考え方に対し、プレコンセプションケアでは、胎児期から老年期までの一生を通じて健康を維持し、病気のリスクを減らしていこうとする視点を重視します。人間の受精から胎児期・小児期など、成長の過程にある時期は、特に周囲の環境の影響を受けやすいとされています。そのため、男女問わず、幼い頃から健康的な生活習慣を身につけることができれば、生涯にわたって病気にかかりにくい人生を送ることができると考えられています。

💡ワークショップの特徴、アート&サイエンスの視点
科学的な情報はどうしても教科書の中の情報として自分の日常や経験から切り離してしまいがちです。科学的情報を自分事として捉えるために、アートや物語などの機能を加えて伝える新しい科学教育が始まっています。それをSTEAM教育と言います。STEAMはSTEMという理数系科目の頭文字にアートのAを足したものです。本教材はSTEAM教育のデザインを使い、科学的情報を生徒が自分事化し、主体的に考えるきっかけを生み出します。

HOW TO PLAY/使い方・進め方

設定

― このゲームで何をするのか

ワークショップでは、架空のカップルの30代にライフイベント(恋人探し/健康習慣/結婚/出産/育児+仕事)が重なっている状況を課題として、これらのライフイベントを20代に移すとしたらどうなるかを考えます。

ライフイベントに関する情報をまとめた「ヒントカード」や科学的視点からのアドバイス「研究者からのメッセージカード」、考えを広げるためのアドバイス「アーティストからのメッセージカード」を手がかりに、パーティ(=グループ)で話し合います。
30代にライフイベントが重なり、少し立ち止まっている架空のカップル。その状況を出発点に、「何を、何歳に移動するか」を考えていくことで、人生を計画通りに進めるのではなく、選び直しながら未来を想像する体験へとつなげていきます。ここで描かれるのは、ひとつに定まった答えではなく、開かれた複数の未来のかたちです。

ワークショップの手順

― 授業の進め方

STEP1 オリエンテーション

「プレコンセプションケア」の説明から始めます。
ワークショップ設計書

STEP2 準備

生徒を2〜6人程度に分け、1パーティに「プレコン!」1箱を配布します。

STEP3 ワークショップ

生徒には、「3つのクエストに挑戦する」というかたちで実行します。
箱の中には、生徒用の説明書が入っています。
precon_instructions

第1のクエスト ライフイベントを動かせ!【制限時間:20分】
① 年表カードを並べる
ライフイベントコマを説明書の指示に従い、30代に並べます。

② ヒントカード・メッセージカードを引く
気になるカードを引き、カードの情報を手がかりに、ライフイベントをどうするか考えます。

③ コマを移動する
話し合いながらコマを移動し、パーティで考えたカップルの「もうひとつの人生」をつくります。

第2のクエスト もうひとつの人生を共有せよ!【制限時間:各3分】
各パーティの「もうひとつの人生」を発表します。
どのライフイベントを何歳に移動したか、その理由も含めて発表します。

第3のクエスト 自分の未来を想像せよ!【制限時間:5分】
最後は個人ワークです。
「自分だったら、どんな未来を描くだろう?」と考え、自分のライフプランを書いてみます。

ワークシート(A5サイズ)

ファシリテーションのポイント

  1. 「正解」を求めない
    このワークショップでは、ライフイベントを「正しい年齢」に移動させることを目的としていません。それぞれのパーティが、カードの情報や対話をもとに考えた「もうひとつの人生」を大切にします。
  2. カードの情報を「答え」にしない
    ヒントカードや研究者からのメッセージカードは、ライフイベントを動かすための「正解」ではなく、考えるための手がかりです。例:「この情報を見て、どう思った?」「この情報を入れると、人生はどう変わりそう?」など、生徒自身の考えにつなげます。
  3. 「なぜ?」を大切にする
    どのライフイベントを何歳に動かしたかだけでなく、「なぜそう考えたのか」、考えの背景を引き出します。
  4. 異なる意見を「比べる」
    パーティ同士で異なる「もうひとつの人生」ができること自体が、このワークショップの面白さです。考え方の違いに目を向けるよう促します。
  5. 「自分だったら」を無理に聞かない
    プレコンセプションケアや結婚・出産など、個人の価値観や家庭環境に関わるテーマを扱います。そのため、自分自身の経験や将来について、無理に発言させないことも大切です。
    「自分だったらどうする?」と考えることは促しつつ、発表するかどうかは本人が選べるようにします。
  6. 最後は「決める」のではなく「考え続ける」
    第3のクエストでは、自分の未来について考えますが、ここでも「理想のライフプランを完成させる」ことを目的にしません。未来にはいろいろな可能性があり、考え方も変わっていくことを伝えます。

お問い合わせ

ワークショップツール「プレコン!」の使用を希望される方や詳細を知りたいという方は、
下記のメールアドレスよりお問い合わせください。

Email: costep_office【at】ml.hokudai.ac.jp  ※【at】を@(半角)に変えて下さい


クレジット

企画・制作:北海道大学 CoSTEP 奥本素子、朴炫貞
デザイン:中西要介(STUDIO PT.)
イラスト:古市杏弥(STUDIO PT.)
編集:一條亜紀枝、野口久美子
制作進行:野口久美子(北海道大学 CoSTEP)
カード執筆:荒木悠(アーティスト・映画監督)
市原佐都子(劇作家・演出家・小説家/城崎国際アートセンター芸術監督)
前田恵理(北海道大学大学院医学研究院 公衆衛生学教室 准教授)
佐野友宇子(北海道 石狩振興局 保健環境部保健行政室(北海道江別保健所)主任技師)
執筆・監修:石川奈保子(北海道大学 教育イノベーション機構 高等教育研究部 准教授)
助成:トヨタ財団 2024年度助成特定課題「人口減少と社会課題」
協力:札幌文化芸術交流センター SCARTS(札幌市芸術文化財団)
発行元:北海道大学 教育イノベーション機構 教育開発センター 科学技術コミュニケーションユニット CoSTEP

参考資料・出典
  • パーソル総合研究所,児島功和, “”20代若者の仕事の考え方―仕事選びに求めること、転職の考え方、仕事に抱く感情から探る””, 2023年8月, 図7「20代のはたらくことを通じた不幸せ実感(ジョブパフォーマンス別・2023年)」https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/thinktank-column/202308090001/
  • マイナビキャリアリサーチLab, 長谷川洋介, “2026年卒大学生就職意識調査”, 2025年4月, 図7「結婚後の仕事に関してどのように考えているか / マイナビ 2026年卒大学生のライフスタイル調査」https://career-research.mynavi.jp/reserch/20250423_95696/
  • マイナビキャリアリサーチLab, 中島英里香, “大学生時から老後不安?初任給アップ時代の企業選びとは~2026年卒新卒採用・就職活動の展望~”, 図5「学生が感じている将来の不安 /マイナビ2025年卒大学生活動実態調査(9月)」https://career-research.mynavi.jp/column/20250307_93521/
  • 厚生労働省共育プロジェクト,”若年層における仕事と育児の両立に関する意識調査(速報)”, 2025年7月30日, 13ページ「あなたの仕事 や育児に対しての想いのうち、以下に対してどのように思いますか。「私は、仕事と育児の両立に不安がある」」https://www.mhlw.go.jp/content/001527094.pdf
  • NHK ONE, “企業で働く男性育休取得率40.5% 過去最高 厚労省昨年度の調査”, 2025年8月3日https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10014879501000
  • ベネッセ教育総合研究所, “教育費はいくらかかる?貯め方は?大学までの平均額や補助制度をご紹介”, 2023年11月7日https://benesse.jp/kyouiku/202311/20231107-1.html
  • 日本経済新聞, “大学生の4人に1人「婚姻関係望まず」、17%「子どもいらない」民間調査”, 2025年6月3日https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC030YQ0T00C25A6000000/
  • PRESIDENT Online, 宗健, “「結婚している人のほうが幸福度は高い」約90万人のビッグデータ分析でわかった””日本の幸福度の実態””, 2024年8月28日, 図表2「結婚している男女・結婚していない男女の年齢別幸福度」https://president.jp/articles/-/85176?page=3
  • 株式会社マーケティング・コミュニケーションズ, “「人生100年時代における結婚・仕事・収入に関する調査」中間報告書”, 9,14ページhttps://www.gender.go.jp/kaigi/kento/Marriage-Family/8th/pdf/4.pdf
  • 株式会社リクルートブライダル総研,”恋愛・結婚調査2023″, 2023年12月12日https://www.recruit.co.jp/wp-content/uploads/2025/07/20231212_marriage_01.pdf
  • ナイル株式会社 “「マッチングアプリ婚」は33.3%。交際期間2年以内でのゴールインが半数以上~結婚に関するアンケート調査~”, 2025年5月28日https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000587.000055900.html
  • 内閣府男女共同参画局, “コラム1 平均値と最頻値考察~「平均初婚年齢」と「初婚年齢の最頻値」の間には3歳から4歳の差~”https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r04/zentai/html/column/clm_01.html
  • BELTAライフステージをあなたと育む, “30・40代など年齢別の妊娠確率や平均の妊活期間について”https://belta.co.jp/expert/ninkatsu_meister/30s_40s/
  • こども家庭庁妊娠・不妊のポータルサイトISSHO, “不妊は特別ではない”https://funin-fuiku.cfa.go.jp/dictionary/theme03/
  • バイエル薬品株式会社 生理のみかた, “最近話題のプレコンセプションケアとは?”https://www.seirino-mikata.jp/tools/column/07/
  • 一般社団法人日本生殖医学会, “生殖医療Q&A > Q25.男性の加齢は不妊症・流産にどんな影響を与えるのですか?”http://www.jsrm.or.jp/public/funinsho_qa25.html
  • M3総研 HPV(子宮頸がん)ワクチン接種率データhttps://vaccine-japan.com
  • Benesse たまひよ, “女性の第一子出産時の平均年齢はこの30年間で4歳も上昇! 調査データで分かった日本の子育ての現状”, 2019年12月16日https://st.benesse.ne.jp/ikuji/content/?id=62410
  • ELEMINIST, “【2024年】世界の出生率ランキング 日本の順位や先進国の現状を解説”, 2024年12月28日https://eleminist.com/article/3967
  • The Asahi Shimbun SDGs ACTION, “AYA世代とは? がんの特徴や問題点、支援内容をわかりやすく紹介”, 2026年1月2日https://www.asahi.com/sdgs/article/14969536
  • 株式会社NoFrame, “Z世代の恋愛観から結婚観、子育てにまつわる本音を調査。約半数が「子どもを持ちたい」という結果に。メディアが映すZ世代の虚像とは?”, 2025年4月8, 図表4「子どもを持つことへの考え」https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000106068.html
  • 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, “プレコンノート”https://www.ncchd.go.jp/hospital/about/section/preconception/preconnote/
  • 内閣府男女共同参画局, “コラム4 我が国の育児休業制度は世界一!?男性の育児休業の変遷と背景”https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r04/zentai/html/column/clm_01.html
  • 政府広報オンライン, “梅毒患者が急増中!検査と治療であなた自身と大切な人、生まれてくる赤ちゃんを守ろう”https://www.gov-online.go.jp/article/202403/entry-5789.html
  • ITmedia ビジネスオンライン, “小学生の時なりたかった職業、実際に就けたのは6人に1人”, 2012年07月24日https://www.itmedia.co.jp/makoto/articles/1207/24/news050.html
  • TOLLFREE FORWARDING.COM, “Doctors, Writers and eSports Players: How the Childhood Dream Job Has Evolved”, 2018年12月18日https://tollfreeforwarding.com/blog/doctors-writers-and-esports-players-how-the-childhood-dream-job-has-evolved/
  • 独立行政法人労働政策研究・研修機構, 調査シリーズNo.208就業者のライフキャリア意識調査―仕事、学習、生活に対する意識, 2021年3月31日https://www.jil.go.jp/institute/research/2021/208.html
  • WILY Online Library, Kathleen E. Mitchell, “Planned Happenstance: Constructing Unexpected Career Opportunities”, 2011年12月23日https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/j.1556-6676.1999.tb02431.x
  • National Library of Medicine, “Prevalence and Features of Impaired Glucose Tolerance in Young Underweight Japanese Women”, 2021年4月23日https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33512496/
  • こども家庭庁妊娠・不妊のポータルサイトISSHO, “男性不妊について”https://funin-fuiku.cfa.go.jp/dictionary/theme06/

実施レポート