CoSTEP ~ 近くて遠く、遠くて近いもの ~
CoSTEPを科学コミュニケーション分野の1学派と見立てることを許していただけるなら、私は新学派形成に乗り出し始めようとしていた頃の杉山先生を記憶しています。理学部5号館旧科学史研究室で、「アマチュアとは、ハイアマチュアとは誰か・何か」と、院生相手に熱く語られていた先生を思い出します。
2003年5月、札幌ドーム近くで遺伝子組換え(GM)イネが試験栽培され論争が起きたとき、私は某雑誌に「農家をまじえたコンセンサス会議を」と寄稿しただけですが、先生はCoSTEPを立ち上げ、北海道GMコンセンサス会議(2006年11月~2007年2月)を具体化しました。私はGM作物対話フォーラムPJに携わり、市民と専門家の相互理解を深める対話の場を創っていましたので、同コンセンサス会議に合わせて専門家間の対話の場を設けたいとの下心もあり、CoSTEPの方たちとともに事務局に加わりました。
RIRiCというPJ研究でBSEステークホルダー対話を準備していた2009年9月末、先生から「討論型世論調査(DP)でBSE問題を」と研究に誘われました。適切な資料と専門家、有能な多数のモデレーターやスタッフが必要なBSE-DPの開催には、CoSTEPのネットワークや組織力が大きな力を発揮しました。不遜ながら、2010年に先生をRIRiCの「振り向けば、未来」や「BSE熟議場in北大」にお招きしたことも、少しは貢献したかもしれません。
対話フォーラムPJもRIRiCも、CoSTEP修了の皆様方のお世話になりました。PJメンバーになってもらったり、熟議場に出席してもらったり、GMどうみん議会(市民陪審)等のスタッフとして参加してもらったりしました。農学院でもCoSTEPの知名度は年々上昇しており、受講中という学生にも出くわします。かような学生達は、リスクの語り方や向き合い方を熱心に考えており、CoSTEPの果たす役割は幅広いと、外にいて実感しています。