2. 挑む30. 鈴木 章 氏、ノーベル賞受賞
2010年10月6日、夕方6時頃だっただろうか、理学部にある自分の研究室で本を読んでいたら竹本さんから電話があった。「鈴木先生がノーベル賞を受賞して、すごいことになっています。」
「ん?」しばらく事態がのみ込めなかった。「へえ、きょうが発表の日だったんだ。」
この2年前、2008年の秋に、「鈴木先生がノーベル賞を受賞するかも知れない。それに備えて、もろもろ準備してほしい」という依頼が大学本部からあった。そこで、鈴木先生の業績をわかりやすく解説した文章を渡辺 保史さんが準備した。また私が鈴木先生にインタビューし、その様子を藤田 良治さんが撮影、数分のビデオにまとめた。佐伯総長の「御祝いの言葉」もビデオにまとめた。
10月8日の夕方。CoSTEPのスタッフは皆それぞれに、スウェーデンのノーベル賞委員会のウエブサイトを開き、受賞者の発表を待った。がこの年は受賞ならず。翌2009年も、ノーベル化学賞発表の日には、「今年こそは」という期待をもって発表を待っていた。ところが2010年には、ノーベル化学賞のことを、少なくとも私はすっかり忘れていた。それで、「ん?」と思ったのである。
理学部から高等教育推進機構のCoSTEPに駆けつけてみると、2年前に渡辺さんが作ってくれた「解説文」をウエブサイトに掲載する準備を竹本さんが進めていた。こちらは、内容をもう一度確認したうえで、まもなく公開した。他方、藤田さんが編集したビデオについては、2年前のものなので公開しないことにした。
その後、大学内で開催されている記者会見場に行き、しばらく様子をみてから、会見席に並ぶ岡田 尚武 理事にメモを渡した。「メディアの方に伝えて下さい。鈴木先生の業績をわかりやすく解説した文章をCoSTEPのウエブサイトに掲載しました。」岡田理事は、記者会見の最後にこの旨を記者たちに伝えてくださり、これを機にCoSTEPのウエブサイトへのアクセス数が急増することになった。(それ以前にもアクセス数が増えており、竹本さんが急いでミラー・サイトを立ち上げていた。)