テーマ:生命に介入する科学 III 〜 受精卵の選別・操作、その社会的意味を考える 〜
日 時:2015年6月6日(土)17:00〜18:30(開場16:30)
場 所:紀伊國屋書店札幌本店1階インナーガーデン(中央区北5条西5-7 sapporo55ビル)
ゲスト:石井哲也さん(北海道大学安全衛生本部 教授)
聞き手:大津珠子(CoSTEP 特任准教授)
参加費:無料、当日会場にお越しください。
コーヒー等の飲み物は、2階のコーヒーショップ(スターバックス)でお買い求めいただけます。
定 員:80名
CoSTEPはこれまでのサイエンス・カフェ札幌でシリーズ「生命に介入する科学」を開催してきました。2013年12月に〈パート 1:不妊治療・出生前診断の光と影〉、2014年10月に〈パート 2:受精の前から始まる次世代コントロール〉を実施し、体外受精に代表される生殖補助医療や、新型出生前検査に代表される胎児検査を使って命を作り、選別することの社会的影響について理解を深める機会をつくってきました。
今回はそのシリーズの第3回目〈パート 3:受精卵の選別・操作、その社会的意味を考える〉ですが、生殖医療を取り巻く状況は1回目を実施した1年半前と比べても大きな動きがありました。2015 年4月から、日本産科婦人科学会は、習慣流産等を低減させる目的で、体外受精で得られた受精卵を子宮に移植する前に遺伝学的検査を行い、選別を行う臨床研究として実施することを承認しています。また、イギリスではミトコンドリア病の遺伝予防のための卵子や受精卵での核移植が法的に認められました。さらに今年4月には中国の研究グループがゲノム編集と呼ばれる高効率な遺伝子改変技術でヒト受精卵を改変したと発表して波紋を呼んでいます。
バイオテクノロジーの医療応用によって、着床する前から受精卵の遺伝情報を解析可能とし、さらには操作できる日が到来しつつあります。異常なしとされた受精卵だけを子宮に戻すことは、長く不妊に悩む夫婦や、重篤な遺伝的病気に苦しむ人々に福音をもたらすかもしれません。一方で、これらの医療技術は生命の萌芽への介入と選別であり、また今を生きる障がい者へのインパクトがあると危惧する声もあります。命を選び、命をデザインしようとすることが、社会に受け入れられる準備は整っているのでしょうか。
これから生まれる子を新鮮な驚きをもって迎える出産は、過去のものになるかもしれません。
「生命の始まりを改変するのか? 天からのギフトと受け取るのか? 」と問題提起する石井哲也さんと一緒に、科学技術のあり方と人間の尊厳について理解を深める機会をつくりたいと思います。
【 カフェプログラム 】
part 1 石井哲也さんによる話題提供
part 2 休憩をはさんで、参加者のみなさんによるグループディスカッション
part 3 ディスカッションの内容と石井さんのコメントを共有
※ 後部座席のかたや遅れて出席されたかたはグループディスカッショに参加できない可能性があります
【ゲストの紹介】
石井哲也さん(北大安全衛生本部 教授)
1970年生まれ。博士(農学)。科学技術振興機構を経て、2008年より京都大学iPS細胞研究所特任准教授。山中伸弥教授の傍らで、研究所立ち上げ、臨床研究支援の仕事に従事した。2013年、北海道大学安全衛生本部に着任。以来、生命倫理の研究を行っている。現在、バイオテクノロジーが生殖補助医療等と合流する際に生じる倫理的、法的、社会的問題に関心を寄せている。厚生労働科学研究費補助金「胚性幹細胞臨床指針作成に向けた課題検討のための予備研究」、「再生医療研究で生じた健康被害の補償制度の在り方に関する研究」等に参画。
石井さんの研究紹介は「いいね!Hokudai」にも掲載されています。
【 人工の精子や卵子、何をもたらすか 】