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「科学技術コミュニケーションのための情報と計画」(9/7)奥本 素子 先生の講義レポート

2019.9.20

澤田 莉沙(2019年度 選科/社会人)

前回の講義から一か月の期間が空き、久しぶりの講義は、奥本先生のモジュール4-2 「科学コミュニケーションのための情報と計画」でした。私たちの科学技術コミュニケーションへの想いや理想を、現実社会の課題とつなげるためには、どのように情報をあつめて分析したらよいのか、奥本先生にお話ししていただきました。

思い込み、それって本当?
本講義では初めに、ベストセラー本である「FACTFULNESS」を紹介し、人間は知らないうちに様々なバイアスを抱いてしまうことと、実際にデータを調べると思っていたこととは違う現実を知ることができる、という説明を受けました。そして、この本で用いられるようなクイズ形式に則り、私たちが今年度のカリキュラム開始直前に受けたアンケートで答えた「科学技術に対する課題」だと思っていることについて、実際のデータをもちいて考察をするという講義が始まりました。国民の科学に対する関心、科学技術政策、科学リテラシーなど、それぞれのテーマを取り上げ、国や研究機関が調査したデータを提示し、思い込みとのギャップを知りました。

データから解決したい課題を具体化する
次に、実際に調べたこれらのデータを踏まえて、どのように科学技術コミュニケーション活動へ活かすかという実例をご紹介いただきました。データによると、そもそも科学に関心のない無関心層は科学技術コミュニケーションの場に出てこないという事実や、従来の一対多のサイエンスカフェでは、参加者一人一人が科学者と対等に話せていないのではないかという懸念が挙げられていました。そこで、奥本先生らが主催した「差の湯の会」というイベントは、お茶を飲むという一見科学離れしたコンセプトを用いて、お茶室の中で茶道のきまりに則り参加者と科学者が対等な立場で話せるという企画だったそうです。その結果、集まった市民から科学に対する発言が多くみられ、話の盛り上がりをみせたということが分かりました。この実例から、イベントを企画する際には、データをもとに自分がどこに問題意識を持っているのかを明らかにし、解決する課題を絞ることが重要であることが伺えます。

考えてないで調べろ
本講義では、これまでモヤモヤと考えていた科学技術に関する課題に対して「それって本当?」と自問自答することから始まり、データを調べ客観的に分析し、社会において何が今課題なのかを具体化させるまでのプロセスを学ぶことができました。

「科学技術コミュニケーション」は、モジュール1の講義でも学んだように、実に多様であり抽象的な言葉です。さまざまな可能性が広がるこの言葉と向き合いながら、自分が目指す課題解決の活動を行うために、データからターゲットの情報を分析し、どのようなアクションが適切なのかを考えて計画し行動していきたいと思うようになりました。

奥本先生、ありがとうございました。