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「映像メディア科学技術コミュニケーション」(7/8)早岡英介先生講義レポート

2020.8.5

渡辺 千絵(選科/社会人)

モジュール2‐2 早岡先生による「映像メディアと科学技術コミュニケーション」は、オンデマンド配信による実施でした。早岡先生は、北大CoSTEPの客員准教授でいらっしゃいますが、以前は、TVの科学系番組のディレクターだったそう。そんな先生から、映像を用いて情報を伝えるお話をしていただきました。

〇コロナ下での情報

コロナが世界で蔓延する前、専門家達の分析によると、世界経済を脅かすものとして、感染症の脅威はさほど重要視されていませんでした。しかし、コロナウイルスの蔓延は、世界経済、私たちの生活に大きな打撃を及ぼしています。たとえ専門家であっても、目の前の事情から離れ、完全に客観的になるというのは難しいものなのです。

コロナと向き合う中で、日本では専門家委員会が発足され、代表の方がメディアで発言していましたね。しかし、その発言が政治的判断にそのまま受け取られてしまったり、実際にそのまま政策として実施されてしまうことも多かったかと思います。そんな情報発信の仕方が、科学への不信感や科学者への心無い発言につながっています。科学には絶対はない中、科学者は可能性の話をしているのです。科学的な可能性と政治経済を総合的に考え、指揮を取るのが政治家。両者ははっきりと役割分担されるべきなのですが、現状は、政治も、情報発信もうまくいっているとは決して言えません。

〇これからの映像メディア

コロナを代表とした「よくわからない」ものというのは、世の中にたくさんあります。それらの情報を発信したり、受信したりするときの注意点を教えていただきました。

1) ジャーナリズムへの適切な評価
Bestはないので、betterなものを評価しあうこと

2) 分析を重視した双方向性
専門家の選び方(わかりやすい、聞きやすい人に飛びつくのではなく、学会などを通して、適切な人材を探す)

〇情報発信の極意!

最後に、先生が教えてくださった、情報発信の極意をまとめます!

★伝えるために大事なこと
①シンプルに…伝えたいメッセージを絞り込む
②具体的に…感覚的にわかりやすいものに置き換えて表現する
③ストーリ…伝えるときの話の構成
④感情…人は感情の生き物

★「伝わりすぎ」にも注意
映像情報は人々の記憶に強く残ります。特に、メディアは、一般的なことよりも、マイノリティー、稀なことを取り上げがちです。発信するときは、一般市民に寄り添うことは必要なことですが、何が多数派であるか見極め、バランスを考えながら発信することが大切です。

★映像にも文法がある
①編集はロング(遠目、全体像の映像)、アップ(拡大、細かい部分・具体像の映像)のくりかえし
②ナレーション、テロップ、同時録音で情報密度を高める
③映像だけで語らせる「間」を作る(情報が密だと、聞き手が疲れてしまう)
④編集がイメージできないと必要な映像は取れない(全体の構成を大まかに作ってから撮影を行う)

90分の講義は本当にあっという間で、本当に有意義な内容でした。これからますます活躍の幅が広がる映像メディア。上手く活用するコツがギュッとつまった授業でした。

早岡先生、ご多忙な中、本当にありがとうございました。