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「プレゼンテーション伝える」(8/4)小林良彦先生 講義レポート

2022.2.17

宮出実希(2021年度 選科/社会人)

モジュール2第5回目の講義では、CoSTEPの小林良彦先生より、科学技術コミュニケーションにおけるプレゼンテーションの手法についてお話しいただきました。

 

今回の小林先生の講義の中では、プレゼンテーションは「他者に自分が持つアイデアや情報を主に口頭で伝えること」であり、「他者に何らかの影響を与える」ことを目的としながら、「時間と場所が限定される」ことが前提です。

講義の冒頭では小林先生から「最近プレゼンテーションをしたのはどんな時だったか」という質問を投げかけられ、受講生からは「企画会議」や「論文発表」など様々な場面がが挙げられました。ここで挙げられた例から、いかに私たちが日常的にプレゼンテーションを行なっているか、または自分の意見を発信する力が求められているかが一目瞭然でした。

誰に何をなぜ伝えたいのか

前述した「他者に何らかの影響を与える」というプレゼンテーションの前提を踏まえ、まず聞き手となる対象を具体的に絞る必要があります。そのためには、聞き手がどういった人物か、聞き手との間に何を共有しているか、またどういった姿勢でプレゼンテーションを聞いているかなど、聞き手に対して想像力を働かせながら、自分はどういった立場かを明確にしなければなりません。講義の中に小林先生から「科学技術コミュニケーターとして誰にどうなってほしいか」という質問が投げかけられました。その場で一人ひとりが考えたように、一度前提に立ち戻ることで、その後のプレゼンテーションに対する準備にも変化があるといいます。

伝え方を整理する

具体的にプレゼンテーションの準備に取り掛かると、伝えたいことが多岐に渡り不明瞭になる場合があります。その場合は先に述べた「誰にどうなってほしいか」という前提に立ち戻りながら、話す内容を厳選するしていきます。まず、簡単なもの→難しいもの、結論→理由など、話の順序を組み立てます。この際、同時に聞き手の立場を具体的に設定しておくことで、伝わりやすい順序を構成することができるといいます。さらに、内容を簡潔に構造化することによって、プレゼンテーション自体の説得性が増し、聞き手にも全体像や重要な点を共有できるという利点もあります。

またスライドデザインも重要な要素です。私自身、今までに発表内容が簡潔であっても、スライドデザインが負担になりあまり理解が促されないプレゼンテーションを目にしたことは少なくありません。聞き手に負担のない発表のためには、文章と図表を揃え統一感を保ったり、語句の説明などを表記する場合は互いを近くに配置し、視覚的に理解しやすい配慮が必要です。他にもスライドを行き来しないよう連動する情報は一つのスライドにまとめるなど、実際に事例を見せながら具体的にお話しくださいました。

聞き手を惹きつけるプレゼンのために

これまでの事を踏まえて、聞き手をより惹きつけるプレゼンテーションをするための例についてもご紹介いただきました。まずは、前提を聞き手と共有することです。まさしくこの講義の始めにも、小林先生から「プレゼンテーションとは何か」という前提をお話しされていました。実際に私も前提を最初に聞いていることで、内容を見失うことなく理解できていると感じました。また発問を活用することで、聞き手の考えを深めさせることも一つの手法です。具体的な発問を行うことで、プレゼンテーション自体の理解を促進したり、聞き手自身が問題に対して対峙しているという実感を与えることもできます。対面して行うプレゼンテーションだけでなく、オンライン形式で行う場合もチャットなどを利用して行いやすく効果的な方法だと感じました。

さらに、聞き手に対して心に留めてほしいことや考えてほしいことを、テイクホームメッセージとして残すことで、より印象に残るプレゼンテーションになります。しかし、漠然としたことや内容の趣旨から外れた言葉をテイクホームメッセージとして発信してしまうと、発表全体が印象に欠けるものになってしまう恐れがあると小林先生は言います。

本番での具体的なテクニック

前述した様々な準備を行った上で、最後にプレゼンテーションを行う場面で必要なテクニックについてもお話しくださいました。例えば、スライドと言葉意外にボディランゲージを活用することで、聞き手の意識を向けメリハリのある発表を行うことができます。同じく注目を引くためにポインターなどを利用する場合は、無駄な動きは避けて、発表の邪魔にならないよう工夫する事も重要です。その他に「時間と場所が限定される」からこそ、発表の間やスピードにも気を配り、総じて「減点を避ける」ような進行を心がけることで、聞き手からの評価につながります。

まとめ

講義全体を通して、今まで自分が行ってきたプレゼンテーションを振り返ってみる良い機会になりました。今回伝授いただ具体的なテクニックを始め、先生が講義の中で「プレゼンテーションを通して「誰にどうなってほしいか」という前提に立ち返る」というお話は、どんな機会においても心がけていきたいと感じました。科学技術コミュニケーションを行う上でも、聞き手を惹きつけるプレゼンテーションをしていきたいと思いました。小林先生、ありがとうございました。