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「情報デザイン対話と共創の技術の可能性」713日の渡辺保史先生の講義レポート

2011.7.22

7月13日の講義では、渡辺保史先生(北海道大学大学院地球環境科学研究院/GCOE上級コーディネーター)に「情報デザイン―対話と共創の技術の可能性」と題してお話いただきました。

・情報デザインとは?

情報デザインとは何なのか、その手法、意義、という3つのキーワードを、具体例を示しながら説明して下さいました。

1.What(対象/目的)とはあらゆることを可視化することである。例えば、地下鉄地図、ダイアグラムで示すなど、webサイトの普及によって可視化が進んでいる。分かりやすさ、使いやすさという点が大事。

2.How(手法/過程)とは、個人の感性にゆだねていたデザインを「ある程度」科学的・組織的に進めることである。例として、2004年のハコダテ・スミカプロジェクトを紹介。これは18年後(2022年)の函館市民の暮らしをグループで検討し発表するのだが、条件として、未来の函館の課題やポテンシャルのアイディアを入れ込む、というもので、大事なのは、函館を観察しそこに住む人をイメージしてアイディアを出すこと。

3.Why(意義/価値)というのは、人の対話や共創の「場」をつくる、ということである。「せんだいメディアテーク」という図書館等が入る施設を、市民にとって開かられた場になるのかを考えるプロジェクトを事例として挙げた。ここでは場を共有したカフェやメディアテーク通信簿、利用者で作る案内書などの活動で、コミュニティをつくるという成果を得た。

・情報デザインと科学技術コミュニケーション

次に情報デザインと科学技術コミュニケーションの関係性とその役割を、次のように説明して下さいました。

『科学技術コミュニケーションは問題とテーマの提供で、情報デザインは、それをどのように正しく理解してもらうのか、方法を提供することである』

つまりお互いに必要な存在であり、科学技術の問題を解くためには専門家と非専門家のあいだの社会的なインターフェイスをデザインしなければいけないので、これは、科学技術コミュニケーションの役割であると同時に、情報デザインの役割でもあると話されました。

また、情報デザイナー、科学技術コミュニケーター、ファシリテーター、など異なる言葉があるが、別々の役割のようでいて、オーバーラップし始めているのではないか。つなぐ人、つなぐ技術のありかたを改めて考える時期に来ているので、その為には新しい教養を構築することが必要であると解説されました。

授業の冒頭で、震災後、情報デザインや科学技術コミュニケーションは今後どんな関係を結んでいくべきか、その方向性を見つけてもらえればいいと思う、という言葉で始まった講義でしたが、渡辺先生のさまざまな事例や未来へ向けてのパワーを間近で感じることができ、今後の大きなヒントをもらったような気がしました。

渡辺先生ありがとうございました。