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自分を見つめる、日間

2023.3.20

小西麻理(2022年度 選科B/出版社勤務)

あなたが「サイエンス」を好きになったきっかけは何ですか?

私は出版社で、小学生向けの学習雑誌の編集者として、また、新聞記事を書く記者として働いています。もともとサイエンスとは縁遠く、大学は法学部出身。出版社に入社してからはホビーや芸能、漫画などを担当していましたが、10年ほど前の人事異動をきっかけに、科学や歴史について勉強しながら雑誌や新聞記事を作るようになりました。

異動当初は、サイエンスに対して苦手意識を持ちながら仕事をする日々。しかし、取材先の先生たちが語る宇宙や技術についての話がとても面白く、そのキラキラした宝石のような内容を記事にしていくうちに、いつの間にか「サイエンスの楽しさを子どもたちに伝えたい」とより強く意識するようになりました。でも、はたして自分の伝え方は的確なのだろうか? どこかでそういった勉強ができないものか? そんなことを思って調べて行きついたのが「サイエンスコミュニケーション」。そして、理系出身でも大学院生でもない私に学びの場を提供してくれたのが、このCoSTEPだったのです。

選科Bは、毎回授業の動画を見て、課題のレポートを提出。そして秋に行われる、北海道大学現地での3日間の集中演習です。今年度は、10月の連休に集中演習が設定され、全国各地からさまざまな職業の人たちが集まってきました。

いつもパソコン画面の向こう側にいる先生たちが目の前で動いている・・・・・・まるで、直接アイドルに会ったときのような気分になったのは、私だけではないはず? そんな浮かれた気分もほんの一瞬。毎日朝から講義を受け、課題文を完成させるためにひたすら書く。時間に追われ、毎日、目の前の文章に向き合っていました。

今から思い返せば、集中演習で受けた講義の内容――たとえば、「絵を見て、決められた文字数内で文章描写する。それを相手に見せ、文章をもとに絵を描かせる」、「印象的だった言葉を付箋に書き出す」、課題文である「大学、企業、研究機関から出たプレスリリースを、A4用紙2枚以内で高校生向けに書き直す」は、「伝える相手はどんな人か」という読者像の明確化、そして、文章にする際の「情報の取捨選択」を学ばせる3日間だったのではないか、と感じています。じつはふだん編集者として当たり前にやっていることなのですが、集中演習中はそんなことも思いつかないぐらい、1つの文章に対して自分を追い込む時間でした。

さて、終わりにもう一度、質問させてください。

あなたが「サイエンス」を好きになったきっかけは何ですか?

そして、その「サイエンスが好き」という気持ちを、「サイエンスの楽しさ」を、誰かに「伝えたい」と思ったら、ぜひCoSTEPの門を叩いてみてください。きっと1年後にあなたは、「もっと伝えたい」と思っているにちがいありません。

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