Articles

66 サイエンスカフェ札幌「ボク、生物ロボット”〜科学が生み社会が育てる人工生命〜」開催されました

2012.12.6
2012年11月24日(土)16時半から、紀伊国屋書店札幌本店1階インナーガーデンで、第66回サイエンス・カフェ札幌「ボク、生物”ロボット”〜科学が生み社会が育てる人工生命〜」が開催されました。ゲストは、北海道大学大学院・地球環境科学研究院准教授の山崎健一(やまざきけんいち)さんです。大きなクリスマスツリーが飾られた会場は満席となり、立ち見も出る盛況ぶりでした。
今回のテーマは「合成生物学」。生物を「合成」するという、まるでSFのような話ですが、現代の分子生物学の技術では実現可能だというのです。それどころか、世界中の大学生チームが合成生物のアイデアを競う「国際生物ロボットコンテスト」(iGEM)まで開かれ、「生物版ロボコン」とも言われています。

山崎さん率いる北海道大学チーム「IGEM HokkaidoU」は今年で3年目。アジア大会で金賞も受賞しました。今年の報告会は、12月11日(火)18時から19時半まで、同じく紀伊國屋書店で「科学者を育てる〜生物ロボットで世界に挑戦した北大生たち〜」と題して開催される予定です。
生物を合成するとはどういうことでしょうか。まずは高校生物のおさらいから始まり、遺伝子の仕組みや、DNAの構造、基本的な役割についてお話がありました。また山崎先生たちが作った生物ロボット「女性ホルモンを検知すると青くなる植物」の実物も持ってきて頂き、休憩時間に来場者が自由に顕微鏡で観察できるようにしました。他にも「環境中の有害物質である水銀を吸収してしまう大腸菌」や「酸素濃度に応じて異なる蛍光を発する大腸菌」など、アイデアあふれる生物ロボットを写真等で紹介しました。
今回のサイエンス・カフェでは、来場者との双方向コミュニケーションを生み出すために「クリッカー」という、リモコンのような装置を使ってみました。クリッカーは、選択式の質問に対し、来場者が手元のコントローラーから送信した回答を瞬時に集計できるシステムです。
Q. 生物を合成できるという研究結果を知っていましたか?
1. 知っていた 2. 知らなかった
Q. 大腸菌の遺伝子の数は何個?
1. 400個くらい 2. 4000個くらい 3. 40000個くらい 4. 400000個くらい (正解: 2.) 
このように、途中でアンケートやクイズを出題し、それぞれの選択肢に何人回答したか画面に表示されます。正答や回答者の分布を見て、山崎さんが解説しながらカフェは進行します。
カフェの後半では、参加者に「こんな生物あったらいいな」という生物ロボットのアイデアを募りました。「放射性物質を除去する生物」や「ウソ発見生物」など、ユニークなアイデアが来場者からたくさん寄せられ、山崎さんも感心しきりです。
会場では当日、「バイオアートギャラリー」のポスターを展示しました。顕微鏡を通して見た生物の美しさを表現した作品で、山崎さんが率いる「iGEM」の北海道大学チームの学生が制作したものです。美しいポスターは、会場でとても目立ち、通りすがりの買い物客の方も足を止めて鑑賞していました。
また会場では、11月15日に発売されたばかりの山崎さんの新著「遺伝子デザイン学入門 I 〜かんたんデザイン編」(北海道大学出版会)を販売。購入した参加者に、山崎さんが丁寧にサインをしていました。来場者の皆さんの好奇心と熱気に、山崎さんや私たちスタッフも感激し、大いに刺激も受けました。会場まで足をお運び頂いた皆様、本当にありがとうございました。
(レポート:2012年度本科 前田 明裕)
  ゲストの山崎健一先生と
     2012年度本科・サイエンスカフェ実習3班:石井彩映子/北野慈和/前田明裕/松原一樹