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「グラフィックデザイン基礎」713 大津珠子先生の講義レポート

2013.7.20

大津珠子先生は、大学院在学時からフリーランスのグラフィックデザイナーとして活躍されている、CoSTEPの誇るアートディレクターです。モジュール2の最後となる今回は、大津先生にグラフィックデザインの秘訣について教えていただきました。

「ピッツァ・マルゲリータ」のデザイン

講義の冒頭、スクリーンに大写しにされたのはおいしそうなピザの写真。トマトソースの赤にモッツァレラチーズの白、バジリコの緑が映える美しいピザです。その名も「ピッツァ・マルゲリータ」。この名は19世紀のイタリア王妃、マルゲリータに由来します。

大津先生が学生時代に教わったこのピザの逸話には、デザインにとって大事なことが暗示されているといいます。「このピッツァが生まれた背景を想像し理解すれば、デザイン力を養うことができるはずです」と解説してくれました。

科学技術コミュニケーションとデザイン

日本の科学技術関連予算は年間4〜5兆円。これは防衛費にも匹敵するほどの額です。この莫大な科学技術関連予算を使うことで、研究者は日夜研究にはげみ成果を生み出し続けています。同時に研究者は科学技術に対する国民の理解と支持を得る必要があります。

ここで科学技術コミュニケーターの出番です。情報には機能的で間違いをさせないデザイン(=ケ性)と、記号的で人を喜ばせるデザイン(=ハレ性)のバランスが必要とされます。「グラフィックデザインとは情報の質を視覚的にコントロールすること」これが大津先生の主張です。グラフィックデザインの視点は、コミュニケーターが、情報発信する際に強力な武器となります。

デザインのための5つの “S”

大津先生がグラフィックデザインを考える上で大切にしている5つの要素があります。その5つとはずばり、Simple(簡潔さ)、Style(形式・ルール)、Sensibility(感受性)、Surprise(驚き)、Sympathy(共感)です。これらの要素を意識したグラフィックデザインには、作り手の伝えたかったことを一瞬で伝えることのできる力をもちます。百聞は一見にしかず! なのです。

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講義の際に見せていただいた、美しくインパクトのあるデザインの数々。美しさもさることながら、それらの中に隠れているデザインの意図についての先生のお話はとても新鮮でした。大津先生、ありがとうございました!

(中島悠貴 2013年度本科・北海道大学理学院 修士1年)