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「ASD(自閉スペクトラム症)学校教育と保護者、当事者児童をつなげる」10/24風間恵美子先生の講義レポート

2015.12.4

佐々木萌子(2015年度本科 対話の場の創造実習/北海道大学薬学部薬学科5年)

障害、いじめ、虐待、犯罪、不登校…。今回の講義は、学校で何らかの助けを必要としている児童に対して教師や保護者と連携を取りながら教育支援を行っている、風間恵美子先生(札幌市教育委員会 特別支援教育巡回相談員)をお迎えしました。

人とのかかわりに失敗し続けている-自閉スペクトラム症の児童

自閉スペクトラム症(ASD)とは「社会的コミュニケーションおよび相互関係に伴う持続的障害」と「限定された反復する様式の行動、興味、活動」を主な症状とする神経発達症候群の1つです。会話する際の相手の表情を読み取ることができないなどの非言語的コミュニケーションの障害があったり、こだわりが強く儀式的な行動パターンを取ったりします。一方で、例えば数学がとても得意であるなどコミュニケーションに関する部分以外は普通の児童と変わりありません。

そのため病気が本人の人格のせいだと勘違いされてしまうこともあります。本当は人と関わりたいのに、自分を出しすぎていることで周りに理解されない。病気のためというよりは、人とのかかわりに失敗し続けているために苦しんでいる、そんな児童を何人も見てきたと先生はおっしゃります。

気持ちを言葉に書き出す

次に、具体的にASDの児童と先生、お母さんのエピソードを通して、それぞれの立場の人の気持ちを考えました。先生は「家庭のしつけがなっていない」、お母さんは「学校の対応が悪い」、他にも多くの意見が出されました。関わっている人それぞれが感じた気持ちを言葉に書き出してみることで、解決策が少しずつ見えてきました。

解決策はなくても、抱えていくことはできる

ASDを治すことはできないかもしれません。でも環境を変えればASDという特徴はそのままでもやっていける、と先生は言います。表面的には意味の分からない行動を取ったとしても、その児童にとっては最善で「行動の裏には必ず理由がある」のです。どうしてその行動を取ったのか?より深いところまでその児童を見ること、そうやって関わり方を変えることで環境が変わり、おのずと子どもたちの行いも変わっていくのです。

「つなげる」と「つながる」

特別支援教育巡回相談員は、学校教育と保護者、当事者児童を「つなげる」仕事です。でも、「つないでもらう」だけでは根本的な解決にはなりません。当事者が自分で「つながった」と思えることが大切です。立場の違う人を「つなげ」て、「つながる」手助けをする。そういった意味で特別支援教育巡回相談員は科学技術コミュニケーターと近いものがあるかもしれません。今日のお話をこれからのCoSTEPの活動や自分の将来に生かしていきたいと思います。ありがとうございました。