【イベント概要】
オーロラやデナリ国立公園で有名なアラスカは、北アメリカ大陸の北西、カナダのユーコン準州に隣接する、アメリカ合衆国最大の州です。土地の多くは森林や湿原、永久凍土地帯であり、カリブーやグリズリー、ビーバーなどの日本には生息していない野生動物が暮らしています。今回のゲスト、文化人類学者の近藤祉秋さん(北海道大学 アイヌ・先住民研究センター 助教)は、アラスカ先住民の文化を学んでいます。アラスカ先住民の人々は、昔から河川を遡上するサケの一種、マスノスケをとって暮らしていました。サケ漁は先住民の伝統や文化をあらわしています。しかし、近年マスノスケの数が減少しています。村人たちは、その原因がビーバーの増加にあると考えています。一方、生態学者たちは、その理由を否定しています。現地に赴き、実際にその場を自分の足で歩き、見て聞いて考えた文化人類学者は、先住民の見解と専門家の意見の対立をどのように捉えたのでしょうか。そして、人の営みが環境や動物に影響を与え、それが再び、アラスカの人々の生活を変えていくことを「人新世」の観点から捉えることで何が見えるようになるでしょうか。「人新世」とは、新たな地質年代を指す言葉です。この耳慣れない言葉は、46億年の地球の歴史を24時間にたとえたら、たった2秒ほどにすぎない人間の活動が、地球全体を変えつつあることを意味しています。「人新世」が描く新しい世界の見取り図を、みなさんと一緒に考えていきます。
第106回サイエンス・カフェ札幌
ビバ!アラスカ地球紀行 〜文化人類学者が考える「人新世」とのつきあい方〜
【日 時】5月26日(日) 14:30~16:00 ※14:00開場
【場 所】紀伊國屋書店札幌本店1F インナーガーデン
【聞き手】古澤 輝由(北海道大学 CoSTEP 特任助教)
【主 催】北海道大学 CoSTEP
【定 員】80名
【参加費】無料
【ゲストプロフィール】
近藤 祉秋(こんどう しあき)さん
北海道大学 アイヌ・先住民研究センター 助教。専門は、文化人類学、アラスカ先住民研究。早稲田大学大学院、アラスカ大学フェアバンクス校博士課程を経て、2016年4月より現職。おもな業績として、『犬からみた人類史』(共編著、勉誠出版、近刊)、『人と動物の人類学』(共編著、春風社、2012年)など。アラスカで乗っている「犬ぞり」を、将来、日本でもできないかと企み中。