

あまりに「人間らしい」回答をしてくるAIに、つい「ありがとう」「ごめんね」と返してしまう。最初はただの便利な道具だったはずなのに、いつの間にか相手を気遣う言葉を投げかけている。そんなとき私たちは、AIを単なる道具ではなく、隣にいる「誰か」のように受け止めているのかもしれません。近年では、AIを親友と呼んだり、伴侶として人生を共に歩もうとする人も現れています。
一方で、人間でないものを人間と同じように扱うのはおかしいという考え方もあるでしょう。このような「擬人化」は、私たちが他者とどう関わるべきかを問う倫理学においても争点となってきました。AIに人間らしさを投影し、人間同士と同じような親密な関係を築けると勘違いしているのではないか、と警戒されてきたのです。
しかし、私たちは自然にペットに話しかけたり、古いぬいぐるみをゴミ箱に捨てるのをためらったり、ロボットと人間が心を通わせる物語に感動したりします。人間でない相手に対して、応答し、気を遣い、心を動かされる。それは、私たちがその人間でないものとの間に何らかの関係性を見いだしているからではないでしょうか。
AIという、人間ではないけれどただのモノとも言い切れない存在が現れた今、他者とのよい関係とは何かを問い直す時が来たのかもしれません。このサイエンスカフェでは、これから私たちはAIとどのような関係を結んでいくのか、私たちにとってAIはどんな存在になっていくのか、考えます。
AIをめぐる倫理学を研究する北海道大学の清水颯さんをガイドに、「関係性」を軸にした新しい倫理学の潮流を手がかりとしながら、これからの人間とAIのあり方について一緒に考えてみませんか。
【タイトル】たとえ、あなたが人でなくても。~AIから始まる新しい倫理と配慮~
【日 時】2026年8月8日(土)14:00~15:30(開場:13:30)
【場 所】紀伊國屋書店札幌本店 1F インナーガーデン
(北海道札幌市中央区北5条西5-7 sapporo55 1F)
【ゲ ス ト】清水 颯(しみず・はやて)さん/北海道大学人間知・脳・AI研究教育センター(CHAIN) 特任助教
【聞 き 手】平川 全機(ひらかわ・ぜんき)/北海道大学CoSTEP特任助教
【参 加】事前申し込み不要、参加無料
【人 数】50名程度
【主 催】北海道大学 CoSTEP
ゲスト:清水 颯(北海道大学人間知・脳・AI研究教育センター 特任助教)さん

1998年北海道生まれ。北海道大学 人間知・脳・AI研究教育センター(CHAIN)特任助教。哲学・倫理学を専門とし、カント倫理学やAI倫理、特に人間と技術の関係を研究している。最近は、人と人、さらには人間以外の存在との関係のなかで立ち現れる倫理に注目する「関係論的転回」に関心を寄せ、欧米圏の研究者たちとの共同研究や国際的な対話に力を入れている。著書に『AIに恋しちゃダメですか?――AIと生きるための倫理と哲学』(技術評論社、2026年)。